激減!交通事故死者数

交通事故の死亡者数が激減している。

2017年1月4日「平成28年中の交通事故死者数について」
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001168544

2009年から5000人を下回るようになり、毎年、「うおお!激減してる。すごい、すごい」と思っていたが、2016年、ついに交通事故死者数3904人。

ちなみに交通事故死の最大のピークは1970年の16,765人。
その後、減少傾向となるが、なぜかまた増加しだして、1988年から1995年まで、交通事故死者数が10,000人を超える。


(図出典:「平成28年中の交通事故死者数について」)


交通事故は、発生件数や負傷者数をみると反射的にシニカルな気分になってしまう。

自賠責保険、そして自動車保険その他もろもろ、交通事故の補償は手厚い。手厚すぎる。
「交通事故は儲かる」。これ、日本の常識だ。
「交通事故」と聞くと小躍りする弁護士、柔道整復師、医師、一般市民はあまたいる。

「こんなに交通事故とケガへのインセンティブが激高状態で、よく交通事故件数と負傷者数が減るなぁ」というのが率直な感想だ。どれだけ「故意の事故」や「必要ない治療や施術」で事故件数や負傷者数が水増しされていることやら。
「実際は、(故意ではない)交通事故件数や負傷者数はもっと減ってるはず」と思っている。むしろこれは確信だ。

しかし、死者数については、さすがにそうそう水増しはないだろう。
というわけで、交通事故についてはまず死者数に注目してしまう。


さて。交通事故死者数激減はめでたいが、それに対する国家公安委員会委員長のコメントが、「ちょっと違うんじゃないの」感満載だ。

これは、国民一人一人を始め、交通ボランティアやマスコミなど関係方面の御協力により、交通安全の確保に取り組んできた結果であります。

え。交通ボランティアとマスコミ。

いや、もちろんアシスト的功績はあるだろうけど、交通事故減少の主要因はそこじゃなかろう。

主要因仮説。

1.道路の整備(車道と歩道の明確な分離など)

道路幅を広げることが必要になるので、すぐには実現できないけれど、これが一番重要なファクターなんじゃなかろうか。さすがに自動車前提社会になって、
体感的に、もっとも道路の整備が進んでるのは東京だろう。地方に行くと、車道と全然分離されていない道路がデフォなんじゃないか、という地域もある。そういう道路を歩くのはめちゃくちゃストレスだ。というか、普通に危ない。

2016年の人口10万人当たりの死者数、東京は1.18人と群を抜いて低い。
ちなみに、2014年から3年連続で人口10万人当たりの死者数が5人を超えるのは、福井県香川県愛媛県だ。
(出典:2017年1月4日「平成28年中の交通事故死者数について」P.3)

都道府県別の道路整備状況の比較データがあれば、相関関係をみてみたい。

2.自動車の安全設備、技術の向上

トヨタはじめ、自働車メーカーの安全設備の充実、技術向上。
多分、もっとも直接的に即時に(数年後に)効果があるのがこれだ。安全設備の数々、みてみよう。

(1)シートベルト
1975年、設置義務
1985年、高速道路における罰則付き着用義務(運転席、助手席)
1992年、一般道における罰則付き着用義務(運転席、助手席)
2007年、後部座席の罰則付き着用義務

(2)チャイルドシート
2000年、罰則付き着用義務

(3)エアバッグ
トヨタエアバッグ採用状況をみてみよう。
https://www.toyota.co.jp/jpn/tech/safety/technology/technology_file/passive/airbag.html
1989年、運転席エアバッグ
1992年、助手席エアバッグ
1996年、サイドエアバッグ
1998年、カーテンシールドエアバッグ
2002年、ニーエアバッグ

(4)衝突安全ボディ
1994年、新型車に前面衝突試験、義務付け


その他、ABS、歩行者傷害軽減ボディなどなど、自動車メーカーのたゆまぬ安全技術の追求には頭が下がる。

国家公安委員会委員長、自動車メーカーの努力と成果にこそ感謝表明して欲しい。