学校の冷房設置状況
日本の夏は暑い。
暑さがつらくなると毎週チェックしてしまうのが消防庁の「熱中症情報」だ。
総務省消防庁「熱中症情報」
https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/post3.html
熱中症による救急搬送人員。これが「暑さがつらい」体感と見事に比例している感があって目が離せなくなる。
さて、昨年2018年は、凄まじく暑い夏だった。
2018年10月25日「平成 30 年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況」消防庁
https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/item/heatstroke003_houdou01.pdf
2018年における5月~9月の熱中症による救急搬送人員数は95,137名。
その前3年の同時期の搬送人員と比べてみると、2018年の凄まじさが浮き彫りになる。
2015年 55,852名
2016年 50,412名
2017年 52,984名
例年の5万人でも随分と多いのに。
冷房の設置や適切な使用など、環境整備がすすめば基本的に熱中症は減少していくものだと思う。
2018年の状況で、もっとも注目すべきは熱中症の発生場所の6.7%を「教育機関」が占めていることだろう。
実に6,333名もの人が教育機関で熱中症となって救急搬送されている。
学校には夏休みがあるのに、これほどの人数が熱中症になって救急搬送されるとは。
「もしかして、学校の教室にはエアコンがない?」
エアコンなしで数十人が一つの教室で授業を受けたら、かなり地獄絵図、もとい、頭が朦朧として勉強どころではない状態になるだろう。
さて、学校の教室にエアコンは設置されているのか。
公立学校については調査があった。
2018年6月9日「公立学校施設の空調(冷房)設備設置状況の結果について」文部科学省
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/29/06/1386475.htm
2017年4月時点の冷房設置率である。
小中学校 41.7%
幼稚園 58.3%
高等学校 49.6%
特別支援学校 74.5%
え。2017年でこの設置率って本当なのだろうか。目を疑う。
そして、設置率の都道府県差が大きい。
東京の冷房設置率は、小中学校84.5%、幼稚園89.8%、高等学校77.7%、特別支援学校96.7%となっている。
東京の殺人的な暑さを考えると設置率100%で当然ではないのかと思うが、これでも全国的にみれば高い設置率になっている。今後は100%に近づいていくのではないか。
むしろ驚きなのは殺人的な暑さにさらされる大都市圏であり、かつ相対的に財政に余裕があるはずの愛知県の小中学校の冷房設置率27.8%という不可解。なぜ。
千葉県の37.6%もたいがいだが。
ちょっとおもしろいのは、香川と愛媛の極端な格差である。
香川県の小中学校の冷房設置率は92.3%。その隣県の愛媛県の同設置率は13.2%。
「県境を超えたら(教室内は)地獄絵図だった」的な。
そして教室だけでなく体育館なども冷房設置されるべきところだ。
2017年時点の体育館における設置率は1.2%と、ほぼ設置されていない状態だが。
本当は、冷房というもののある現代では、夏休みなんて廃止して、子ども達は冷房を完備した学校でがっつり勉学にいそしむのがいいのではないか、と思う。
貧しい家庭では冷房代を節約してしまうこともあるだろうし。
家族旅行に行くにしても長期休暇は9月や10月のもっと気候のよろしい時の方がいいだろうし。
この空調(冷房)設置状況調査はおおむね3年ごとに行われる。
次回の調査は2020年だろうか。設置率がどのくらい高くなっているか、楽しみだ。
体育館も含めて冷房設置がすすめば、かつ、冷房が適切に使用されれば、「学校で熱中症になる」なんてことはそうそうなくなるはずだ。
できるだけ早期に、そして次に2018年なみに暑さのきつい夏が来る前に、学校の冷房設置が完了するよう願っている。