2013-11-01から1ヶ月間の記事一覧

穏やかな死に医療はいらない

ついに真打登場である。終末期のあり方に、これぞという本があらわれた。これからの日本でかくありたい死のあり方を幾つもの具体例で示してくれている。萬田緑平「穏やかな死に医療はいらない」穏やかな死に医療はいらない (朝日新書)作者: 萬田緑平出版社/…

患者様、お犬様

「患者様」と聞くと、反射的に「お犬様」と心の中でつぶやいてしまう。なんで普通に「患者さん」と呼ばないかな、と思う。正直に言えば私は病院が大嫌いだ。 昔ほどではないにしても、病院で「今、自分は人間扱いされてない」と感じたことのある人は多いと思…

安野百葉子「オチビサン」

安野百葉子氏の描く「オチビサン」は四季折々の木々や花々が丁寧に描かれていて本当に美しい。あまりの美しさに、時としてはっと息をのんでしまったりする。主人公のオチビサンと、近所に住む仲間たちの日常はほのぼのと幸福だ。オチビサンは人間なのかそう…

ある昭和的老夫婦の風景

私が見舞に訪れた時、老人は、死の床にあった。 老人はもうほとんど動くことも出来ない。寝ているようにもみえるが、多分寝てはいないだろう。しかし、達者な頃、あれだけよくしゃべった人が今は一言も発しない。寝たきりの老人の傍らで妻は言った。 「この…