患者様、お犬様

「患者様」と聞くと、反射的に「お犬様」と心の中でつぶやいてしまう。

なんで普通に「患者さん」と呼ばないかな、と思う。

正直に言えば私は病院が大嫌いだ。
昔ほどではないにしても、病院で「今、自分は人間扱いされてない」と感じたことのある人は多いと思う。
患者を「丸太」扱いするのはやめて欲しい。といったら言葉が過激すぎてしまうのだが、根底に「丸太」意識があるように感じてしまうことはある。

「症例としてしか診ていない」というか「症状しか診る気がない」ように感じてしまうと、つい「丸太」という言葉を連想してしまったりするのだ。

「患者を人間として扱う」という意識の浸透は確かに医療現場に必要なことだと思う。

しかし「患者様」はなにか方向性が間違っているのではないか。

医師は患者のサーバント (servant)ではない。医師は医術の施すことのできる技術者であり専門家だ。そして患者に対して対処案や指針を示すことができるから「師」だ。
とはいえ、患者の身体と患者の人生は患者のものだ。

めざすべきは主体性を持った患者と医師との対等なパートナー関係だと思う。
患者は専門知識で医師にはかなわない。でも人としては対等だ。大体、人生に対する決定権は患者にある(べきだ)。
人として対等な関係を目指すならば「患者様」はない。

患者様などと言われると、適当にまつりあげておいて、まともに向き合う気はないのではないか、という気がしてしまう。