「あいづっこ宣言」はかなりまずい

会津の地に降り立って、まず目に入るのが、「あいづっこ宣言」だ。市内、いたるところに掲げられている。

あいづっこ宣言

一.人をいたわります
二.「ありがとう」「ごめんなさい」を言います
三.がまんをします
四.卑怯なふるまいをしません
五.会津を誇り年上を敬います
六.夢に向かってがんばります

やってはならぬ やらねばならぬ
ならぬことはならぬものです。

http://www.city.aizuwakamatsu.fukushima.jp/docs/2007080601668/

げっ。
いきなり「これはやばいだろ」というものをみてしまった。

一.人をいたわります
二.「ありがとう」「ごめんなさい」を言います

ここまではいい。

三.がまんをします

これはまずい。

現代において、「がまんする」ことはまったく美徳ではない。
「何のためにがまんするのか」
「そもそもがまんするべきことなのか」
(がまんして達成したい目的が適正なものと仮定して)「がまんすることが目的達成のために合理的な手段なのか」
今はそれらが検証されるべきだ。

そうでないと、「バカじゃねーの」という「がまん」が多くなる。

「夏は冷房、冬は暖房で快適にすごして生活の質や作業効率をあげよう」
「環境変化などなどで意味を失った慣習に時間と労力を割く必要はない(廃止しよう)」
「不当な暴力等に耐える必要はない」

といったことが通らなくなる。あるいは通りにくくなる。「みんながまんしてるんだから」が決め台詞になる社会、想像するだにぞっとする。


四.卑怯なふるまいをしません

これもさりげに危険な宣言だ。
子どもの世界では、親や先生に「ちくる」ことは卑怯なふるまいとされていることが多い。
先の「がまんします」とコンボになると、暴力等の不当な扱いにさらされている子に「今の状態に耐えろ」というメッセージを送ることになる。

こんな宣言を堂々とかかげたら、不当な扱いを受けている子を追い詰める上、不当な行為が発覚もしないだろう。

五.会津を誇り年上を敬います

うわ。
「年上を敬います」。この超高齢社会において、これ言うか。
「数は力」だ。ただでさえ高齢者が権力を持っているのに。
むしろ少数派である子どもこそ、「大切にします」宣言をして欲しいところだ。

こんなところで高齢者の権力補強宣言されても。
「非合理的な年上編重」、「年上の言うことには逆らうな」という社会をつくるのやめてくれ。

やってはならぬ やらねばならぬ
ならぬことはならぬものです。

こんな問答無用的なダメ出しまでつけますか。

あいづっこ宣言の元ネタは江戸時代は会津藩士の「什の掟」だ。

さすがに「戸外で物を食べてはなりませぬ」という、屋外バーベキューやレストランのテラス席の否定や、「戸外で婦人(おんな)と言葉を交へてはなりませぬ」という、バリバリ男性社会前提の掟は削除されている。

でも、やっぱり江戸時代は江戸時代。今とは環境も科学技術も価値観も違い過ぎる。

むしろ害が大きい伝統とやらは捨て去った方がいいと思う。