Fabrique en France 、あるいはフランス文化の威光

とあるフランスの有名ブランドの商品に、こんなタグがついていた。

Fabrique en France ”ファブリケ アン フランス”

「Fabrique en France ”ファブリケ アン フランス”(フランス製)」とは、私が1976年にブランドを創立して以来支援してきた、フランスの技術そのものです。

その技術が消失したり、村全体が失業してしまうような事態を避けるため、産業を活性化させ続けることが大切です。

それはまたフランス文化の威光を外国に広める方法でもあります。
そのために、私は2010年9月、特定の商品に『フランス製』のネームタグを付けることにしました。私のコレクションの多くの製品は、フランス国内で生産されています。ある国の1分間の工賃は、フランスの70分の1です。しかし、多くの企業が、国内生産に戻すことによって、生産量を増やし価格を下げることに貢献できるのです。」

さて、この商品のお値段。

15万円也。

確かに、この服がユニクロとかと比べて、クオリティが高いのは素人目にも分かる。
しかし、値段がユニクロと比べて二桁も違う理由は、ズバリ、工賃、と、タグで高らかに宣言しているのだ。

要するに、これ、同じ商品を、例えば、ベトナムでつくったら、遥かに安く出来るってことですよね。ひょっとしたら、3万円程度で同じものを売ることも可能かもしれない。
ベトナムの工賃がフランスの何分の一か知らないけれど。

フランス、確かに好きだ。

でも、例えば「ベトナムより好き」というわけではない。私の中で、フランスもベトナムも、それぞれ「好きな国」だ。
というか、アジアの民としては、ご近所な分だけ、フランスよりベトナムの方を「ひいき」すべきところかな、と思ってしまう。

大体、なぜフランス人に、ベトナム人より超高い工賃を払わなくてはならないのか。
「同じクオリティのものが提供できる」なら、本当は「同じレベルの対価を得る」べきだろう。
同一労働同一賃金」ていうやつだ。

まぁ、世界視点でみて、超割高な賃金をもらっている日本人の私がいうのもなんなのだが。

あと、フランス人ではない私に「フランス文化の威光を広める」モチベーションはさすがにない。というか、フランス文化の威光という発想に意表をつかれる。「日本文化の威光」とか、普通、言わないと思う。

フランス人の、フランスへの愛着とプライドは、世界的に有名なだけに、「Fabrique en France ”ファブリケ アン フランス”」は、フランス国内ではとても共感を得るだろう。

でも、極東日本で、わざわざ日本語訳してこのタグを付けるのはどうだろう。


私的には「あ、この商品て超割高なのか」、「買わない」と即決する判断材料になってしまうのだが。