春画展

「2015年秋、永青文庫で、春画展を開催することにいたします。これは、日本における、初めての、本格的な春画展になります。」

http://www.eiseibunko.com/shunga/

意外。

「日本といえば春画」というくらい、世界的に有名…というのは言い過ぎだが、美術史上で有名なのは確かだ。

大英博物館では、2013年から2014年にかけて春画展が開かれたらしい。観たかった。

まぁ、しかし春画展が企画しにくいのは理解できる。

美術展は、その美術館だか企画者だかの力量、知性・知識、センスが如実にあらわれる。
「おざなりに絵を漫然と並べてる」美術展も多い。
それが北斎だのモネだのルノアールだの、ビックネームだと「金に飽かせて…」とつい思ってしまう。
それでも腐っても鯛というか、展示がヘボでも大御所の絵力というか、それでも成り立つし、「ヘボ展覧会」などと批判されることもない。

しかし春画展は厳しい。
しょせん、春画ってエロ本だし。それを美術的に、知的に、見応えのある展示にするには、相当に、企画者のセンスと知性が問われる。

永青文庫の「春画展」、とても混雑していたことだけが残念な点だろうか。
あまりの混雑に、さっさと退散したのだが、でも、バランスよく、春画の色々な魅力の側面を紹介する展示だった。

そもそも、「鏡に映る足先だけ」というポスターがいい。なんともエロティック。


(出典:永青文庫 春画展ホームページ)

もちろん、展示には、かの有名なデフォルメの諧謔もある。あと「子守しながら、性行為を楽しむ夫婦のおおらかさ」とか、今みても魅力的だし、ましてや、そう遠くない最近までのキリスト教社会における性的抑圧を踏まえると、この絵に衝撃と魅力を感じたヨーロッパ人が、少なからずいただろうこともよく理解できる。

あと、「衆道」と呼ばれた男色作品も結構ある。しかも、歴史上の人物を使った「妄想による衆道もの」とか、現在の有名マンガ作品を元にした「受け」とか「攻め」とかの作品などと、テイストも、そこにある精神もまったく同じなのではあるまいか。

多分。

春画展、いろんな企画の仕方がありそうだ。

例えば、「みせないエロさ」だけで構成することも可能だろう。18歳未満も入場可能な春画展。それもお洒落なのではないか。

春画展に限らず、展示対象に深い愛情と知識がなければ面白い展覧会にはならない。
ここは有名どころの力を借りるのも一つの方法だろう。

企画協力でもいいし、いっそ名を冠した春画展でもいいかもしれない。

例えば、「みうらじゅんいとうせいこう 春画展」とか。
これまた、相当、混雑しそうだが。