札幌芸術の森野外美術館

野外の彫刻の美術館といえば、まっさきに思い浮かぶのは箱根だが、札幌の野外美術館もとても見応えがある。
箱根と違うのは、丘の地形を利用しているところだろう。その緩やかな高低差を取り込んで作られている作品もある。

「札幌芸術の森野外美術館」
http://sapporo-art-museum.jp/sculpturegarden.html

いろんな作家の作品があって、おもしろい。
せっかくなので、「これはいい!」と思った作品をピックアップしてみる。

安田侃「間」(大理石)
数ある作品の中で、断トツに美しく、かっこよく、印象的。
丘のいただきに置かれた大理石の門。大理石を配することで「なにもない空間」が特別なものになり魔性を帯びる。

■環境造形Q「北斗まんだら」(御影石安山岩・赤エゾ松)

地面への石と木の配置する、横のひろがり、上に伸びる松による、縦のひろがり、そして時間の経過により「完成」するという、時のひろがり。赤エゾ松が育つ「時間」までも作品に取り入れている。スケールの大きな作品でおもしろい。


■ダニ・カラヴァン「隠された庭への道」
「門」から始まり、「丘」「広場」「泉」「円錐」「水路」ふたたび「門」。
丸い2つの丘がかわいい。「円錐」の中に「眠れる雪」。そして「水路」のラインがとても優美。水の透明な躍動感が神秘的で、妙に感動的ですらある。


■多田美波「位相」(ステンレス)
ステンレスが美しい。最初、作品のテイスト的に、六本木とか、都会にあった方が似合うのではなかろうか、と思ったが、周囲の木々や空を映すのが、なかなか美しい。なるほど、位相による美の再発見。この作品、いい。

■内田晴之「異・空間」(ステンレス・マグネット他)
枠の赤がとてもいい色。木々の緑にも雪にも映える。そして、ステンレスの逆三角形が実は磁石の力で自立してる。

■井上武吉「マイ スカイ ホール85-7」(コールテン鋼)
錆びた鉄を地面に置くことで、地中に、村かなにか、廃墟の幻影がみえる。こういう幻想系の作品、好きだ。

■宮脇愛子「うつろひ」(ステンレス)
空を切り取る線がのびやかでいい。晴れた日にとても映える作品だと思う。

■土谷武「挑発しあう形」(石・コールテン鋼)
緊張感がいい。「石と鉄なら、こういう作品つくりたくなるよね」と思う作品。

■李 禹煥「関係項」(鉄・石)
石と鉄で、こうくるか、と思う。洗練と軽やかさ。

★★★

しかし、野外美術館は、やはり天気が重要。次は晴れた日に行きたい。