健康で文化的な最低限度の生活に必要なモノ

とても幸運なことに、私は、というか、すべての日本国民は、「健康で文化的な最低限度の生活」を営む権利を持っている(憲法25条)。

さて、「健康で文化的な最低限度の生活」に必要なモノってなんだろう。
それは時代によって変わってくる。
例えば、1950年の一般家庭には、洗濯機もエアコンも電子レンジも水洗トイレもない。
でも、今、それらがない生活は耐え難い。

2016年の今、必要なモノはなんだろう。

多分、80%以上の人が「(健康で文化的な最低限度の)生活に必要だ」と断言するだろうモノを列挙してみた。

【住宅設備】
★照明
当たり前に必要。夜は暗くて長い。一晩でも照明なしに過ごすの、かなり無理。

★水洗トイレ(洋式)
水洗トイレは衛生面で必須。水洗トイレのない生活など我慢できない。
でも、実は水洗化率は2008年で90.7%という低水準だけれども。
(出典:国勢調査http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2008/nihon/2_5.htm

★浴室(浴槽・シャワー)・給湯器
ここがヨーロッパなら「浴槽はなくていいよ」という人が多いし、よくよく考えてみれば、浴槽は必ずしも生活に必要ない気もするが、ここは日本。「浴槽ないのはヤダ」という人が多いし、「浴槽あるべし」という社会的同意もある感じだ。

★洗面所
手洗い、洗顔の設備は衛生上、必要。

★エアコン(冷暖房)
東京、大阪、名古屋の都市部はじめ、日本のほとんどの地域は、夏はエアコンがなかったら死ぬレベル。冬も暖房がないのは無理。

★ガスコンロ(IT調理器でも可)
簡単な料理できる設備は生活上、必須。


【家財道具】
★冷蔵庫
冷蔵庫がなかったら食品の保存ができない。例え、料理をしない人でも、冷蔵庫なしの生活はありえない。

★電子レンジ、炊飯器
この2つがない家ってまずないのでは。

★食洗器
1人暮らしならともかく、家族が多ければ、いまや食洗器は必須家電。

★ベットと布団
人間、食べるのと同じくらい寝ることが重要。衛生的にも床から距離のあるところに寝られるベットは必須だし、老人の場合、起き上がる時の身体の負担からベットでないと、という人も多い。

★携帯電話
★インターネット環境・パソコンまたはスマートフォン
いまや社会的ライフライン

★全自動洗濯機
衛生上、不可欠。今の日本ですべての衣類や寝具をたらいで手洗いしている人なんていないし。

★テレビ
テレビは実は社会インフラだ。災害時など、テレビで情報提供するし。参政権の観点から言っても、「政見放送国会中継も見る権利あるので必須です」と言われたら「正論すぎ」としか言えない。

★掃除機
衛生の観点から必要。それがルンバであるべきかどうかは分からんが。もっとも「一人暮らしだったらハンディクリーナーで充分」かもしれない。

★調理器具(包丁から鍋、菜箸まで)
実際は、一切料理しない人もいるけれど、「料理は生きる上での基本。よって調理器具は必須」と言われたら、反論できまい。

★テーブルと椅子
立ったままで食事するなんてありえないし。

★カーテン
今は「まさかカーテンなしでは暮らせない。」という感覚の人が多い。

★衣服・靴
冬服も夏服も、冠婚葬祭のための礼服も、革靴もスニーカーも、大雨、大雪の日のための長靴も必要。

【交通手段】
★自転車
経済的に余裕がないと、電車賃は本当に重く感じる。都市圏に生活している場合、自転車は貧乏なほど必須。

★軽自動車
都内では、自動車は子どもや病人がいる家庭以外では単なる贅沢品だ。
でも、自動車がないと買い物などの日常生活にも支障があるし、自動車通勤でしか通えない職場ばかりの地域もある。基本的交通手段が車という前提で街がつくられている地域では、軽自動車は必須。自動車の必要性については本当に地域差がある。


【周囲の環境】
上水道・下水道、ガス、電気、通信環境(電話、インターネット)、道路。
「そうだ、山奥に住もう」「そうだ、無人島に住もう」など、それは超がつくお金持ち、政治力のある企業家にのみ許される贅沢だ。上下水道やら電気やらガスやら道路やらを、「自前で設置できる経済力、権力」を持つ人のみができることだ。

★病院、薬局、スーパー、コンビニ、図書館、警察(交番)。
30分以内にアクセスできるところにあって欲しい施設。

★★★


とりあえず、水洗トイレ化できない、みたいな住宅設備が整わない建物は取り壊して更地にすればいいと思う。
家財道具については、イニシャルコストで100万円から200万円あれば余裕でそろえられる。で、長期間使える。
多額のお金、しかも主に税金がかかるのは、実は「周囲の環境」だ。

「町までのバスは、1日1往復しかない」という、高齢者ばかりが住む団地をみたことがある。自動車を運転できない高齢者はどうするのだろう。バスの運行維持費はいくらなのだろう。絶対赤字なことは確かだ。
多分、全国でみれば、こういうところに住む人は結構いるのだろう。
ちなみに、離島はもっと大変だ。
口永良部島とか。

1人あたり、ざっくり年間5000万円以上の税金を投入しても「健康で文化的な最低限度の生活」が実現できない地域というのはある。

ある地域に「ここに住み続けたい」という人がいるとして、それが許されるのは、「そこに人が住み続けること」のコストに見合う生産活動がそこにある場合、コストを負担する個人や企業が存在する場合だけだ。

やっぱり必要なのはコンパクトシティ。上手な都市計画だな。