ミューザ川崎、図面と現況が違った

2011年4月25日「ミューザ川崎の衝撃」
2011年10月5日「ミューザ川崎、天井崩落の原因」

に引き続き、「ミューザ川崎(2003年竣工の約2千人収容のコンサートホール)、たかが震度5強地震で全面的に天井崩落」という信じがたい事故について。

さる2012年2月14日、川崎市は「川崎シンフォニーホールの図面と現況について」という資料を公表したのだがこれが慄然とする内容だった。
http://www.city.kawasaki.jp/press/info20120214_15/index.html

図面と現況の不整合。

・防火区画壁の構造部材の一部が切断されていた。
・筋かいが4箇所設置されていなかった。

素人がみてもこれは怖い。
一読したところでは「最大の事故原因は施工を請け負った清水建設の手抜きなのか?」と思ってしまう。

清水建設の回答。

川崎市は3月12日、施工者の清水建設から「当初予定されていたが、設計者による屋根トラス鉄骨の形状決定からブドウ棚鉄骨の形状決定までの間に、ダクトや舞台装置との干渉などの理由で、設計者により中止とする設計変更がなされ、設置されていないと思われる」との回答があったことを明らかにした。
(2012年3月26日 日経アーキテクチャー「金具強度が不足、ミューザ川崎の天井崩落で最終報告」
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20120323/563078/?P=3

清水建設、この回答はみっともない。
「思われる」ってなんだ。「清水建設は根拠がないのに設計者のせいにするつもりなのだろうか」という印象を受けてしまう。
これだけ時間が経過しているのに社内で事実確認ができていないのか。

大体、どのような経緯であったにせよ施工者にも何らかの責任はあるだろうに。

もっとも都市基盤整備公団(現 独立行政法人都市再生機構ミューザ川崎の設計者であり設置者)が設計変更を強く主張したとしたら、または清水建設(施工業者)が問題指摘等をしても聞く耳を持たなかったとしたら、清水建設としてはいかんともしがたい状況だっただろう。

設計変更がなされた経緯については設計者と施工者の双方に資料が残っているはずだ。それを公表して頂きたいところだ。

市は、設計者や施工者らに損害賠償を求める方針だ。
(2012年3月26日 日経アーキテクチャー「金具強度が不足、ミューザ川崎の天井崩落で最終報告」
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20120323/563078/?P=1

損害賠償請求を行なって初めて明らかにできることもあるだろう。

川崎市の今後の対応に注目している。