鹿島、マンション竣工せず解体

「マンションでいえば、完成して引き渡したらトイレの排水管を忘れてた!って感じ」ということはシステムでよくある。特に「初めてシステム化してみた」とかだと超ありがちだ。
要するにデータの削除機能のないシステムである。
大体、データを収集、蓄積するのはいいけどいつまで保有するの?ということは意外と決まっていなかったりするので「トイレの排水管がないマンションみたいなシステム」というのは世の中にたくさんあると思う。

しかしリアルに「マンション施工でトイレの配管わすれた!」なんてことがあるとは。
正確には「スリーブ」(配管や配線を通すための貫通孔)が本来あるべき位置になかったり、位置が違っていたという。600か所以上も。

トイレ流せないのみならず電気も水道も通らないかも、みたいな。

「コンクリートの躯体(くたい)中に配管などを通すスリーブ全約6000カ所のうち、約600カ所で本来あるべき位置に存在しないか、位置が違うといった不備があった(2014年3月17日時点では751カ所の不備が判明)」(2014年3月18日、日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK17035_X10C14A3000000/

往年のダイナシティなどならともかく、業界最高ブランドの鹿島建設施工でこの大惨事は驚きだ。

「また約200カ所で不適切なコア抜きを行ったため、一部で鉄筋が切断されていた。」
(2014年3月18日日本経済新聞

それはもう引き渡せる物件ではなくなってるでしょ。億ションのクオリティではなくなっているのは勿論、億ションじゃなくてもこの地震国日本で鉄筋切断は怖すぎ。

マンションの概要をみてみよう。

「ザ・パークハウス グラン南青山高樹町」
売り主:三菱地所レジデンス
施工主:鹿島建設
関電工:配管設備
竣工予定:2014年1月下旬
引渡予定:2014年3月下旬
戸数:86戸

結局、解体、建て替え。その費用は、施工者である鹿島が全額負担する。

A─報道によれば、2013年8月の段階で、設備工事担当者から現場所長に「スリーブにミスがある」と報告されていた。しかし、現場所長は「不具合の対処をするように」と指示しただけだったとされる。

 設備工事担当者の報告が甘かったのか、あるいは現場所長の認識が甘かったのかはよく分からない。けれども、この瞬間が、工事大失敗への決定的なターニングポイント(転換点)になったと思われる。

Q─失敗の責任者は設備工事担当者なのか。
A─その通りだ。ただし、スリーブ施工図をチェックしなかった設備設計者や設計監理者(設計事務所)、現場所長(施工会社)にも相応の責任がある。また事業主は「チェックアイズ」という独自の検査システムを有し、検査のスペシャリストを揃えていながら見抜けなかったのだから、責任がないとはいえない。

Q─ザ・パークハウスシリーズでは、「チェックアイズ」と「住宅性能表示制度」のダブルチェックを実施している。性能評価機関はスリーブ不足を見抜けなかったのか。
 A─この建物は地下1階・地上7階なので、評価機関が現場検査をする時期は、基礎配筋工事完了時、2階床の躯体工事完了時、竣工時に限られる。それを考慮すると、見抜くのは難しいかもしれない。

Q─スリーブを忘れた場合、コンクリートをコア抜きしてはいけないのか。
A─この現場でも、コア抜きしたため鉄筋を切断したと報道されている。ただし、刃先にダイヤモンドチップのついたダイヤモンドカッターで、コンクリートに穴を開けると、間違って鉄筋を切断してしまう恐れがある。数カ所ならまだしも、600個所だと困難に近いのではないか。

Q─なぜ困難に近いのか。
A─コア抜きで鉄筋を傷つけないようにするためには、慎重を期さなければならないので、どうしても時間がかかる。また深刻な人手不足が続く現場では、必要な作業員を確保するのも難しいかもしれない。そのあたりを考慮して、現場所長は約1年かかると説明したと伝えられている。
 ただ、工期を延ばすためには事情をきちんと説明する必要がある。そうなると、多くの購入者は「きず物は困る」としてクレームを付けるだろうし、事業主や施工会社の社会的なイメージも大きくダウンする懸念がある。
 また、600個所をコア抜きして鉄筋を傷つけてしまうと、場合によっては建築基準法が定める構造強度を下回る恐れもある。その状態で販売してしまうと、耐震偽装姉歯事件の二の舞になり、購入者が損害を被るのに加えて、事業主や施工会社などが法的に処分されるという最悪の事態を招くリスクもある。

Q─今回の工事は欠陥工事ということになるのか。
A─厳密にいうと、欠陥工事や手抜き工事ではなく、手抜かり工事と呼ぶのが正しい。ただ、コア抜き工事を強行して、構造強度が弱い状態で購入者に引き渡すと、欠陥工事とか隠蔽工事などと呼ばれたはずだ。紙一重の実に危うい状態だった。

Q─マンション購入者はスリーブ不足をどのようにして知ったのか。
A─欠陥が発覚したきっかけはインターネット掲示板への、匿名の書き込みだったと伝えられている。本来は事業主が購入者に直接伝えなければならないのに、そうでなかったのは消費者対応の面で問題がある。

Q─書き込みがあった後、事業主はどう対応したのか。
A─最終的には、契約を解除するとともに、建物を解体することになった。平均価格は約1億4000万円、手付金は1割なので約1400万円になるが、契約解除に伴って、この手付金に加えて、迷惑料として手付金の2倍を支払うと伝えられる。
 ほかに、施工会社や設備工事会社は、建設費や解体費の負担を迫られることになる。経済的な負担は数十億円単位のばく大な金額になるが、姉歯事件の二の舞を避けられたことは、不幸中の幸いといえるのではないか。そういう意味では、匿名の書き込みがあったからこそ、最悪の事態を避けられた面もある。
(出典:東京青山の億ション工事で最強トリオが引き起こした前代未聞の大失敗(Safety Japan)http://www.nikkeibp.co.jp/article/sj/20140203/382305/

欠陥発覚はインターネット掲示板への匿名の書き込みからだった。
もしも匿名の告発がなかったら。
このまま隠蔽して鉄筋ぶち切りコア抜き工事やりまくって引き渡しをしていたかもしれない。

実際、あるゼネコン幹部はこう言っている。

「マンション工事なんて儲からないからずさんな現場は少なくない。工程の最後で適当に穴開けをしても表面上はわからないからそのまま竣工することも可能だっただろう」
週刊ダイヤモンド2月8日号)

前代未聞なのは「スリーブが全体の一割以上不足していたこと」ではなく「スリーブ不足が発覚して売買契約履行前に解体に追い込まれたこと」である可能性が高い。


告発の書き込みをみると、相当ひどい有様が目に浮かぶ。

No.865 by 関電工 2013-12-07 00:27:19

よくこんなもん買うよね(笑)

現場の実態を知らないやつら多すぎ。

コア屋が常駐してるクソ現場。

部屋内もコア抜いてるで。

まあクズ中のクズ。

設備は関電工なんだが、やらかしすぎ。

地所は知らねえけど、鹿島もグル。

鹿島はやめな。

No.870 by 匿名さん 2013-12-07 10:25:45

ちなみに部屋内は躯体打ち込み時に衛生などの縦の配管用のスリーブ入れ忘れによるコア抜き多数。

地下はダクトや配管のルートなしにより、壁がほとんどなくなった様な所さえあります。

全て、関電工。

強度なんてあったもんじゃありません。

こんな物件を買わされてはたまらない。
再発防止に必要な制度や仕組みは何だろう。とりあえず、現状は内部告発頼みのようだが。