児童虐待を見て見ぬふりをする人

とある知人の話である。
知人は賃貸マンションに住んでいるのだが、「どうも隣で赤ん坊が虐待されているようだ」という。
なんらかの暴力を加えているような物音と、ちょっと普通ではない泣き声が時折聞こえるのだそうだ。

先日、知人宅に義父母が遊びに来たが、隣からの物音に、重苦しい沈黙が落ちたという。義父だか義母が、ぼそりと「ヤバくないか?」とつぶやいたという。
それ、本当にやばくないか。

で、聞いてみた。

児童相談所とかに知らせた?」

「いや、児童相談所に言って、隣人に逆恨みとかされたら恐いからしてない。しない。」

おい。見殺しかよ。まぁ殺しにまで至ることは滅多にないだろうが、子どもが暴力にさらされたまま放置かよ。

知人夫婦は、どうせ賃貸だし、気軽に引っ越せる身分だ。児童相談所が通告者を明かすことはないが、万が一、隣人に通告したと思われて逆恨みをかっても、引っ越せばいいので、知人はほぼノーリスクだ。

「この人、人として全く信頼も信用もできない」。

というか、子どもの虐待を知ったら、児童相談所への通告義務があるんだが。

児童虐待の防止等に関する法律
児童虐待に係る通告)
第6条 児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない。

通告しなかったことに対する罰則はないが。でも、人としてどうなのよ。


こういう「虐待を知っても放置する人」って、どのくらいいるのだろう。

虐待を知った場合は、児童相談所に通告するのは常識だ。常識だとみな思っていて欲しい。「子どもを見殺しにする社会」って、ぞっとするではないか。