ニッセイ懇話会2013
2013年2月、ニッセイ懇話会に参加してみた。
1.懇話会参加までの道程
いやはや、社員(←相互会社において保険契約者は社員と位置づけられる)が懇話会に参加したい!と思ったときの敷居の高いことといったら。
懇話会の周知はホームページ上と支店店頭のポスターのみで日本生命の発行するメルマガなどでも周知はない。まず、一般契約者がその開催を知ることはない。
懇話会の申込書は支店かニッセイプラザに提出することとなっており、ホームページ上の受付、電話申し込みなどはない。わざわざ支店かプラザに足を運ぶ必要がある。
ちなみにニッセイプラザの受付で「懇話会の申し込みに参りました」と伝えたところ、「コンワカイ…ですか。ここは日本生命ですが(他の会社とお間違いでは?)」との対応で、社内での懇話会の実質的位置づけを端的に知ることができた。
更に申込書提出の際には「会場の広さの関係により、お断りすることもあります」というエクスキューズがなされた。
「まさか懇話会参加希望を断るなんてないでしょ」と思ったが、万一、お断りされた際には、何人の申し込みがあり、どこの会場で何人が懇話会に参加されたかお聞かせ願おうかとちょっと待ち構えてしまった。
勿論、参加は無事、承認された。
しかし、懇話会の案内は「対面で直接伝えたいことがあるので」、郵送などは不可。直接受け取らねばならないという。
因みに「対面でお伝えしたいこと」は、「懇話会は時間が限られているので質問があれば事前にいただきたい」ということであった。
それは電話でも伝わると思うのだが。
「質問があれば事前提出を」という要求自体は質問と回答の質を高める効果が明白なため参加者、開催者双方にとって有益で妥当なものだ。それはよいのだが「時間が限られていますので」という時間を強調する理由づけは「質問は歓迎しません」という意思表示に受け取れるため、あまり妥当ではないだろう。
会社としてトラブル防止に躍起になっていることはある程度理解できる。しかし、いわゆる総会屋(←既に死語)を過剰に警戒し過ぎでは?と思ってしまった。
2.ニッセイ懇話会 当日
懇話会は基本、日本生命がお声がけして参加を要請したお得意様のみが参加する集いとなっているようだ。
私が参加した懇話会の参加者は、総代・新任総代3名、保険契約者(相互会社における社員)23名、日本生命側は5名(役員、支社長、部長)。
参加した保険契約者のほとんどは相互会社の理念や仕組みを理解しておらず、保険に対する理解度や関心も高くない。中には「多分、私も契約していると思いますが」という、「契約者じゃなきゃ懇話会には参加できないから」と心の中でつっこんでしまう発言まであった。
前記の発言は極端としても、一般契約者の保険への関心の薄さは、改めて考えてみれば、やむをえないところだ。
もし、テーマが衣食住あたりの快楽や快適さに結びつくことなら、常に関心を持ち、積極的、定期的に勉強する場を持ったりすることは考えうる。
しかし、なにしろモノは保険である。人生においてどのようなリスクがあり、リスクが顕在化したときのリスクヘッジについて「常に関心を持っている」のはちょっと無理というか、そんな人がいたら、むしろ異常というものだ。
とはいえ、生命保険は社会保障制度の一翼を担う存在。社会保障制度の存在感が急速に高まっている昨今、社会保障制度講座とか日本生命が開催して契約者の意識を高めるとかいうのもありかと思う。
なお、視覚的に印象的だったのは、日本生命側の5名が見事に男性だけであったことだ。
日本の企業における管理職の女性比率の低さは世界有数であるので驚くに値しないのだが、日本生命といえば女性営業職員が会社の顔となっているため、特に「21世紀日本に現存する、合理性なきカースト制」をまざまざと見せつける感があった。
3.懇話会の意義
だいぶ批判的感想をつらつらと書いたが、例え形骸化していようとも、理想と現実に乖離があろうとも、懇話会を開催し、契約者の声を聞く場を設け、契約者の日本生命に対する理解を深めるという取り組みは素晴らしいと思う。
また、日本生命は規模というより能力の面で、日本の生命保険会社の中で突出した存在である。と私は思っている。数々の感嘆させられる保険制度の改正や業務フローを実現させてきている。
また「わかりやすく、シンプルな保障内容に」という日生の商品コンセプトも私は心から支持している。
この懇話会においてもプレゼン、説明資料ともに解りやすく大変勉強になった。
例えば、説明の中で、劣後債発行については結構、衝撃を受けた。
日本生命の契約者に告ぐ。
「保険契約者なら懇話会に参加しよう!」
幾多の困難を乗り越える必要があろうとも。
保険会社としても、契約者の保険への理解を高めることこそ最も行うべき保険会社の社会貢献活動だと私は思う。
4.ニッセイ懇話会 質問覚書
最後に懇話会でした質問を覚書にしておく。
(回答については私の理解不足で日生側の意図が適切に再現されない可能性があることから省略)
質問1.付加保険料について
付加保険料の開示については、昔から社会的要求があり、生命保険の透明性の確保のためにも必要なことであると認識しています。
しかしながら、御社におかれてはいまだに付加保険料は開示しないと判断されていますが、開示されない理由につきましてご教授いただければ幸いです。
質問2.監査体制について
株式会社と相互会社では、監査体制に違いがありますか。また違いがあるとすればどこが違うのでしょうか?
質問3.保有契約において死亡保障額が減少していますが、私は死亡保障額の減少は時代の変化に伴う必然と認識しています。ヨーロッパ・アメリカでは年金といった生存保障が保険商品の主流となっています。御社も今後、貯蓄性の保険に主力をシフトしていくとお考えでしょうか?
質問4.(質問3に関連して)年金等の保険が主力となる場合、今まで以上に機関投資家としての側面が重要となってくると思われます。
御社も「物言わぬ株主」と言われておりますが、今後、株主として投資先の経営に積極的にコミットしていくといったことはお考えでしょうか?