明治安田生命のチラシがあまりに酷い

明治安田生命から今年(2012年)もらったチラシがあまりに酷い。


チラシ曰く、

これだけは聞いてください!
入院1日○○円の医療保障では足りない場合があることをご存知ですか?
例えば、狭心症で3日間入院した場合(冠動脈ステント留置術をうけたとき)、
1日あたり約19万円の自己負担となる場合があります。

絶対ないですから!!
下の方に小さな字でこう記載してある。

●自己負担額は高額療養費支給前の金額です。高額療養費の支給額は年齢や所得等によって異なります。

「高額療養費制度」を知らずして(前提とせずに)医療保障を語ることなかれ。

保険会社に騙されないためにも、是非、下記の資料を一読すべし。

厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆様へ」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/dl/100714a.pdf


高額療養費制度のおかげで、70歳未満・一般の場合、一ヶ月あたり
80,100円+(医療費—267,000円)×1%
が自己負担限度額となる。


チラシの裏面で冠動脈ステント留置術を受けたときの領収書イメージが掲載されている。それによれば医療費は191万2340円。

ならば、80,100円+(1,912,340円—267,000円)×1%で自己負担額は約9万6500円となろう。

1日あたりに割れば約3万2000円。

もっとも、以下の場合は確かに自己負担額は9万6500円より高額になる。
・この3日間が月をまたいだ場合
・一般ではなく上位所得者(月収53万円以上)である場合


月収53万円以上の上位所得者であれば約15万円の負担となる。が、月収53万円の人にとって15万円の(稀な)支出は重くない。というか重かったら問題だろう。普段の収入や支出にみあった貯蓄というバッファーは当然に期待されている。

例え上位所得者で「月またぎ」だったとしても自己負担額約57万円(1日あたり約19万円)はない。なりうるケースがあれば是非、明治安田生命殿にご教授いただきたいところだ。

むしろ、自己負担額は約9万6500円より低額になる場合もある。

・大企業の健康保険組合の中には自己負担額をもっと低く設定しているところもある。
(1か月あたり20,000円程度を上限としているところが多い)
・70歳未満の低所得者(住民税非課税者)の場合、1か月の負担上限額は35,400円。
・70歳以上(一般)の場合、1か月の負担上限額は44,400円。

間違った情報で不安をあおる手法はいただけない。公的保障制度を正しく伝えない企業に公益性はあるのだろうか。