婦人髪洗料とはげ割サービス

江戸東京たてもの園 子宝湯内の張り紙。

入浴料金
大人 12才以上 金15円
中人 6才以上(小学生) 金12円
小人 5才以下(未就学児) 金6円
婦人髪洗料 金10円
昭和28年(1953年)2月 東京都公衆浴場商業協同組合

婦人髪洗料、めちゃ高い。
洗髪頻度が低くなりそうな料金設定だ。
1953年といえば、家に浴室がなくて銭湯に通うのが一般的だった頃だ。この料金設定はきつい。

確かに、腰までの長い髪、日本髪の必需品である鬢付け油を想定すると、この婦人髪洗料は妥当だ。
油べっとりの長い髪を洗ったら、それは大量のお湯がいるし、排水溝の掃除、メンテナンスも相当な負担だろう。

大正から昭和初期にかけて、断髪のモガが流行ったとはいえ、少なくとも1945年の終戦までは、女性は長髪が主流だった。とはいえ、モンペ姿にあわせた髪型に鬢付け油が使われたとはあまり思えないが。

ただ、終戦後、急激に服装も髪型も変わっていった。

終戦後の写真をばらばらとみた感じでは、女性の髪はせいぜい肩までが主流の印象だ。
50年代、確かに和装の女性は珍しくなかったが、洋装の女性の方が多い。
洋装に鬢付け油は使わない。

1953年時点で、婦人髪洗料は既に前時代の遺物だったのではないか疑惑。

しかしながら、この婦人髪洗料が東京都で廃止されたのは1970年のこと。

遅い。

とはいえ、髪の毛の清掃の負担感は今もある。

とあるホテルの割引サービス。

☆はげ割サービス☆
ホテルの清掃は排水溝のヘア処理が大変
そんな現場の声を聞いた社長が「俺みたいに毛がなければ掃除も助かるでしょ!!」という話から生まれた新サービスです。

頑張っている貴方をハゲますサービス。
是非ご利用ください。

スキンヘッドや坊主頭の方、自己申告に限り
宿泊を500円割引

久々に納得の割引サービス発見。これは合理的。

ただ「自己申告に限り」あたりに、微妙な乙女心ならぬオヤジ心に神経を使いそうな気配を感じる。
サービス時に、高度で華麗な対応能力が必要な場面多発の可能性が。

従業員とっては、髪の毛の清掃の負担より、はげ割り実施の精神的負担の方が大きそうだ。