そうだ、酸ヶ湯、行こう

2010年12月4日、東北新幹線新青森駅が開業した。2010年の冬ごろから「日本史上、これほどお金をかけて青森観光が宣伝されたことがあっただろうか」というJR東日本の宣伝ぶりであった。わざわざ混んでいる時に行くこともあるまい。2011年は青森方面には旅行しないと固く心に誓っていた。

が、事情が変わった。

3月11日以降、東北新幹線不通。順次復旧が進んだものの、東京から青森まで新幹線が復旧したのは4月29日。

その間、青森の観光施設はキャンセルを甘受せざるをえなかったはずである。この49日間、観光客は激減していただろう。

これだけ東北支援が喧伝されている以上、新幹線復旧以降、青森には東京からの観光客が殺到しているに違いない。そうでなければこの49日の空白の穴埋めは難しいだろう。
私も長年、最も行ってみたい温泉であった酸ヶ湯に混雑のあまりの芋洗い状態を覚悟で行くことにする。

酸ヶ湯は間違いなく日本有数の名湯である。豊富な湯量を誇る源泉かけ流しの酸性硫黄泉。
見事な総ヒバ造りの大浴場「ヒバ千人風呂」。千人は物理的に無理だと思うがあえて名称に異議は申し立てまい。

酸ヶ湯は江戸期から湯治客に利用されていた歴史を誇る。歴史を誇る温泉旅館は、衛生観念まで伝統に固執しているのではあるまいかと思われる場合が時々あるが、酸ヶ湯は違う。浴場も清潔で手入れが行き届いている。この木造作りの浴場の維持は相当コストと労力がかかるはず。酸ヶ湯の心意気に敬服する。


より快適な滞在を求めるなら湯治の伝統を色濃く残す酸ヶ湯旅館より、そのすぐ傍に建つ八甲田ホテルがお奨めだ。1991年開業の木造建築の美しいホテル。季節と天候に恵まれれば酸ヶ湯から気持ちよく歩ける距離だが、いつでも車で酸ヶ湯まで送迎してくれる。ホテル内の大浴場も非常に湯質のいい贅沢な温泉だ。

夕食は和食かフレンチを選択できる。ここのフレンチ、日本人にとっては恐らくフランスにあるミシュラン星付きレストランのそれよりおいしく感じるだろう。あっさり仕上げたいわゆる和食フレンチ。間違いなく青森有数の名レストランである。

2011年5月中旬、日曜宿泊。

千人風呂、八甲田ホテル内の大浴場はほぼ貸し切り状態。帰りのバス、八甲田ホテルから乗り込んだ客は仙台からの上品な老夫婦1組のみ。酸ヶ湯からの乗客も青森近郊在住とみうけられる高齢の方々ばかりだった。


きっと風呂については混雑時を外す作戦が見事に奏功したのだろう。また、酸ヶ湯への交通手段は自家用車かレンタカーが一般的なのかもしれない。という事情を加味しても、あまりに混雑には程遠く東京方面からの客が少なすぎる。


「そうだ、酸ヶ湯、行こう。」

酸ヶ湯ホームページ
http://www.sukayu.jp/
八甲田ホテルホームページ
http://www.hakkodahotel.co.jp/

【覚書】
青森駅から送迎バスあり。予約必要。これ利用しないとタクシーで5000円以上。
酸ヶ湯と八甲田ホテルはちょっと距離あり。しかし八甲田ホテルのフロントに言えばいつでもバスで酸ヶ湯まで送迎してくれる。
酸ヶ湯売店では部屋付けで買い物できるので現金不要。
・レストランはフレンチと和食があるが、フレンチレストランの方が断然場所よし、景色よし。
・八甲田ホテルにも温泉大浴場あり。酸ヶ湯とは違う源泉。
・八甲田ホテルはハイシーズンは避けるべし。ハイシーズンはバイトでスタッフ増員するためサービスレベルが著しく低下する。(ただしハイシーズンでも酸ヶ湯は混雑知らずで悠々と楽しめる)
・大晦日のそばと正月の餅はあまりにまずくて驚いた。(2013年大晦日および2014年元旦時)