旅館スタイルの時代遅れ

久々に旅館に泊まった。
いろいろと「ぎょっとする」瞬間があって、「旅館というスタイルは、あまりに時代遅れになっているんだな」としみじみ感じた。

もちろん、旅館スタイルのメリットもある。

例えば。


1.「畳に布団」なら、1部屋に大人数で泊まれる。

修学旅行とか部活の合宿とか、雑魚寝の方が楽しそうだ。「枕投げ」とか、旅館の大部屋じゃなければ出来ない芸当だ。

2.「畳に布団」なら、人数の増減に対応しやすい。

突然、宿泊人数が2人から3人になっても、「部屋に2つしかベットがない。困った。一人はソファーベットで我慢するか」なんてことにはならない。3人に増えても布団を一組増やせばいいだけ。余裕の対応が可能だ。

3.浴衣にスリッパで、大浴場を含め、館内を自由に歩き回れる。

これはとてもいいと思う。特に大浴場、温泉がある宿泊施設なら、このスタイルは超重要。
温泉から自らの靴で帰って来なければならないホテルとか「本当に不快。どうにかならないの?」と思ってしまう。ちょっと「館内履き」を用意すれば解決する話なのに。

あと、館内歩き回れる館内着と寝間着の2つが用意されてるといいと思う。
ただし、浴衣より作務衣希望。

でもなぁ。やっぱり「普通の旅行」では、「旅館の違和感」の方が強い。

1.部屋食の違和感

部屋食の旅館、食事が運ばれた瞬間に「うっ」と思う。「え、寝るところで食べるんですか」。しかも「正座ですか」。正座はきつい。普通に椅子に座って食べたい。大体、老人は膝に問題があって正座など無理なケースが多い。

2.部屋に帰ったら布団が敷いてある違和感

別部屋で食事の場合もある。で、食事から部屋に戻ると。
「荷物が端に移動してあり、布団が敷いてある」。本当に思わずぎょっとする。プライベートスペースに思いがけず踏み込まれた感が半端ない。

3.畳に布団で寝る違和感

畳に布団というのは、全然快適じゃない。ベットの方が100万倍快適だ。
まず、床と近すぎる。だから、掃除が行き届いていないと埃っぽくて寝れたものではない。
また、「畳に布団」というのは、ベットのスプリングに慣れた身には、耐え難いほど硬すぎる。せめて敷布団にマットレスくらい追加して欲しい。翌朝、背中が痛くてたまらない。


★★★

修学旅行や部活の合宿所はいざ知らず、そこそこの高級旅館で、「旅館スタイル」は明らかに時代遅れだ。

ちなみに、「寝る場所と食事の場所は分けようぜ」という「寝食分離」は、戦後の住宅政策だ。戦前であれば、食事場所に布団を敷いて寝るのが普通の庶民の暮らしである。長屋を考えれば分かりやすい。戦前の「庶民の長屋」って、現代日本の基準では、限りなく「スラム」に近いかもしれない。

日本の住環境は「変化した」というより「進化した」。

旅館も進化するがいい。