パチンコと貧困の密接な関係
どうもパチンコは貧困の大きな一因となっている気がしてならない。
身の回りでの目に見える貧困としては、ホームレス状態にある人々が分かりやすい。ホームレスといえば「ビックイシュー」。
例えば2006年9月15日号のビックイシュー。
誌面に登場する販売員OB(当時52歳)、現役の販売員、2名がパチンコ依存症といっていい状態であることがうかがえる。うち1人は「パチンコが路上生活を始める大きな原因となった」と語っている。
飯島裕子/ビックイシュー基金「ルポ若者ホームレス」を読む。
- 作者: 飯島裕子,ビッグイシュー基金
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
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児童養護施設出身の若いホームレスの話。
「母親はパチンコ好き、っていうより中毒で俺も小さい時から連れて行かれてましたね。母親は生活保護をもらってたんですけど、1度に渡すと全部パチンコに使っちゃうってことで、役所の人に頼まれて俺と施設の先生が一緒に受け取りに行って、分割して渡してました。」
彼は高校を卒業した後、就職した先を退職することになるのだが、
「母親に似てパチンコ、やめられないんです。だから寮を出なきゃいけないのに、貯金はゼロっていうか、借金がありました。」
子どもの時から母親についてパチンコ店に入り浸っていれば、当然、パチンコをやるだろうし、やれば嵌ってしまうのもまた必然的成り行きだ。
パチンコ依存が世代を超えて貧困を連鎖させている典型的な例だろう。
また、パチンコで家族との関係が破綻するケースも一般的だ。家族との関係が破綻しているから、実家に帰ってホームレス状態から脱却することができない。
あるホームレスの家族との長い葛藤の中での例えばこんな話。
「風邪をこじらせて肺炎になったんです。2週間入院して明日退院という日の前日、妹が見舞いに来て入院代を置いていった。それ見たらどうにも我慢できなくなって、点滴引っこ抜いてパジャマの下に服を着て、病院脱走してパチンコ行っちゃいました。」
アルコール依存症患者のエピソードに非常に似ている。
厄介なことに、アルコール依存症もギャンブル依存症も「治らない病気」だ。
ギャンブルを上手にコントロールできるというような治癒はない。病気、それ自体は治らない。しかし、ギャンブルをやめながら人生を健康に生き直すというような回復はあるのです。
(田辺等「ギャンブル依存症」)
- 作者: 田辺等
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実は全日本遊技事業協同組合連合会という業界団体が「ぱちんこ依存問題相談機関」を設立している。
リカバリーサポートネットワーク
http://rsn-sakura.jp/index.html
業界としても黙殺できない問題ということかもしれない。しかし、ごく小さな、気持ちばかりの相談機関によって解決するような問題とは思えない。
驚くべきは下記の状況だ。
アルコールや薬物依存の回復支援活動に比べ、ぱちんこ依存はその実態さえ正確に把握されておらず、回復支援システムは皆無に近い状態にあります。
(リカバリーサポートネットワークHPより)
そんな放置された状態でよいのだろうか?業界団体ではない団体がまじめに実態把握をする必要があるだろう。
私はパチンコが、個人の経済破綻、自殺率の高さ、生活保護等社会保障費の負担増などに深い関連性を持つのではないかと強く疑っている。
現在の日本においては、大体どの駅で降り立っても駅前にパチンコ屋がある。このような状況でパチンコ依存症から脱却することは非常に困難なのではないだろうか。
そもそも駅前などの一般人の生活空間にパチンコ屋という名の事実上の博打場がある状況というのは異常だろう。
2010年、パチンコ営業所数は12,479、ぱちんこ遊技機3,163,650機、回胴式遊技機(パチスロ機?)1,390,492機、計4,554,142機。
(参照:警察庁生活安全局保安課:平成22年中における風俗関係事犯の取締り状況等について http://www.npa.go.jp/safetylife/hoan/h22_fuzoku_jihan.pdf)
日本の19歳以上人口は約1億500万人。おおよそ23人に1機、用意されている計算になる。いくらなんでも多すぎる。異常な状況だと私は思う。
パチンコは規制すべきではないのか?
<関連記事>
2011年8月28日「パチンコ規制の方法論」