サロン・デュ・ショコラ2014

チョコレートの祭典、「サロン・デュ・ショコラ」。
日本では新宿伊勢丹で開催されている。バレンタイン時期、どこもチョコレート商戦にしのぎを削るが、新宿伊勢丹は他の追従を許さない。その頂点が「サロン・デュ・ショコラ」だ。

1.開催日程が絶妙

2014年、新宿伊勢丹での開催期間は1月22日〜1月27日。2月14日前に賞味期限が切れてしまうチョコレートも多い。
「あー、とりあえずバレンタインだから買わなきゃ」的な、おざなり顧客層を排除し、美味しいチョコレート探索に貪欲な顧客層にターゲットを絞っている。時期的に男性も足を運びやすいし、女性にとっては「バレンタインチョコの下見」という理由付け(言い訳)を提供することで心理的に買いやすくしている。
サロン・デュ・ショコラに参加したブランドの多くはバレンタインまで新宿伊勢丹で買える。「サロン・デュ・ショコラ」で発掘したチョコレートをバレンタイン用に購入するという流れも狙える。つくづく巧い。

2.パティシエの参加

ショコラの作り手たるパティシエを「華」と位置付けて参加させる。パティシエをスターとして扱うことで、チョコレート業界の格上げをはかっている。また、会場でのパティシエ同士の交流はお互いの大きな刺激にもなるだろうし、そこから何か生まれるかもしれない。この祭典の果たす役割は実は大きいだろう。

3.参加ブランドの百花繚乱

出店するブランドをどういう手順でピックアップして決定しているのか分からないが、とにかくハイレベル。かつ都内でも伊勢丹でしか出会えない店も多い。
2014年はESQUISSE(エスキス)が印象的だった。

4.やっぱり物語を語れることがブランドの条件

とにかく自分達のストーリーを語ることがブランド確立にはかかせない。どんなショコラをつくることを目指しているのか。こだわっていることは何なのか。企業の社会的責任とかチョコレート業界にどんな貢献をしているのか。それらは語らなければ伝わらない。そして、語る技術は圧倒的にヨーロッパ勢に軍配があがる。

「樹齢の高い樹のカカオ豆を好んで使用します。樹齢の高いカカオの樹からはワインでいうテロワールのように品種の特徴や土壌の特性が良く現れると考えるからです。そして、生産者へのリスペクトから他の産地のカカオと混ぜることはしません。また、樹齢の高いカカオの樹の保全と乾燥・発酵工程の維持向上のために生産者に適切にお金が支払われることが重要だと考えており、生産者との直接取引を大切にしています」(Byブノワ・ニアン)

文句なしにかっこいい。

業界への貢献度は老舗、ヴァローナが貫録をみせる。

「1989年に創設された「エコール・デュ・グラン・ショコラ」は、ヴァローナの企業理念の象徴ともいえます。研修期間として世界中からプロのパティシエのみなさまをおむかえするだけでなく、研究開発のラボとしても国際的に知られるようになりました。発想、知識を分かち合うという理念に常に忠実に、テクニカル・サポートはもちろん、製菓の世界大会クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリーをはじめとするさまざまなコンクールの運営支援や製菓界の新しい価値創造を指名としています。」(Byヴァローナ)

「カカオ豆についてより深い研究に取り組むべく、1992年にベネズエラにあるエル・ペドレガル農園を取得しました。エル・ペドレガル農園の取得は、絶滅の危機にあったポルセラーナ種の保護も目的でした。」(Byヴァローナ)

ヴァローナも勿論、企業の社会的責任という観点からもぬかりはない。

「わたしたちは、カカオ栽培者や原産国とのパートナーシップを何よりも大切にし、カカオ豆を取り巻く社会や環境について、真摯に取り組んでいます。農園での経済的支援、技術開発援助、社会環境のサポートはもとより、長期契約を結ぶことにより安定した生活を約束するのも、こうした活動のひとつです。わたしたちは、サスティナブル・ディベロップメントを行うことを約束します。」(Byヴァローナ)


日本にもこういうブランド企業がたくさんあるといい。