都内最強は都電荒川線だった

2011年3月11日18時半ごろ、私はJR終日運休の報をみて徒歩帰宅を始めた。その時点できっとJRの終日運休に全ての私鉄も追従するのだろうと推測した。

池袋駅前は驚くような人ごみだった。特にバス乗り場は「この行列の最後に並んだとして、一体いつバスに乗れるのだろうか」と気が遠くなるような長蛇の列だった。バスの車内も恐ろしく混んでいた。

池袋駅前の混雑をやり過ごして、徒歩帰宅できる幸運に感謝しつつ歩く、その道すがら、驚くべきものが目の前を横切った。
なんと都営荒川線が平然と走っていくではないか。しかも車内はいつもどおり大した混雑もしていない。

びっくり。

失礼ながら、私と同様、誰もがJRも私鉄も軒並み運休しているこの日この時に都営荒川線がまさか運転しているとは思いもかけなかったのではないだろうか。

3月11日16時37分、都電荒川線、全線運転再開。

運転再開が早かったといわれる東京メトロ半蔵門線、銀座線(ただし混雑のためすぐ運転見合わせ)、都営大江戸線でも再開時刻は20時40分。

うーむ、都電荒川線、恐るべし。レトロな風情でいい味出してるとか、どちらかといえば観光資源のように見ていたが、なんともあなどれない。

★★★

ちなみに池袋の2大私鉄は対照的だった。
西武池袋線が21時55分に運転再開。割と早い。
東武東上線はJR同様、18時過ぎに終日運休を宣言。運転再開は翌日7時。あ、単線で他社乗り入れもない東武越生線(坂戸〜越生)も翌日運転再開だ。

(参考:「日本鉄道地図帳 東日本大震災の記録」(新潮社)首都圏運転再開時系列表)

日本鉄道旅行地図帳 東日本大震災の記録 (新潮「旅」ムック)

日本鉄道旅行地図帳 東日本大震災の記録 (新潮「旅」ムック)

東武鉄道、相対的に弱すぎの印象が否めない。

ついでながら東武鉄道ホームページの運行情報ページはすぐにアクセス不能になる。9月21日の台風15号の日もあっさりアクセス不能に陥り、何の情報も得られなかった。どうやら3月11日の経験を踏まえた改善はされなかったようだ。
非常時にアクセスが集中するのは当然のこと。そして非常時こそ運行情報の提供が重要だ。

運休はよいとして、運行情報はアクセスできるようにして頂かないと東上線ユーザーはどう行動すべきか対処に困る。

まことに残念ながら非常時最弱は東武鉄道ということになろうか。