よく獲たり

谷中といえば猫が有名だが、多分、少なからぬ谷中の猫たちのルーツはここではないかと思っている。

朝倉文夫邸。現在の朝倉彫塑館。
http://www.taitocity.net/zaidan/asakura/

日本を代表する彫刻家の1人、朝倉文夫氏のアトリエ兼住居である。
朝倉文夫氏は1964年に死去するまで谷中に住んでいた。

この朝倉邸、素晴らしく粋で贅をつくした邸宅であると同時に猫屋敷でもあったらしい。朝倉氏が部屋で8匹もの猫たちに囲まれた写真も残っている。

今、朝倉彫塑館には朝倉氏の残した猫の彫塑の数々が残っている。猫作品は全部で58点。なかなか圧巻である。朝倉氏の尋常ではない猫への愛情がひしひしと伝わってくる。

朝倉氏の猫はかわいいというより野性的だ。

そして作品名とあわせて鑑賞するのが味わい深い。

例えば猫がネズミを咥えた作品の題名は「ネズミをくわえた猫」でも「猫とネズミ」でもない。

「よく獲たり」。

完全なる猫主観。


(写真出典:朝倉彫塑館 http://www.taitocity.net/zaidan/asakura/overview/asakurafumio/