かき氷という芸術品

「こんな美味いかき氷、初めて食べた！」という知人の声に誘われて、行ってみたのは日暮里「ひみつ堂」。
確かに。私の記憶にあったジャンクなかき氷とは全く別物だった。

削った氷の繊細さ。そして「果物蜜は砂糖以外一切の混ぜ物をせず作る」ことによる果物のリアルな存在感。
かき氷はむしろ芸術の域にまで達することのできるデザート菓子なのだ。

「ひみつ堂」は日暮里の片隅にあるとても小さなお店だ。世の中でこうしたかき氷が堪能できるのは、きっと「ひみつ堂」だけというわけではないだろう。というわけで、かき氷の名店を探索してみたいと思う。

なお、かき氷はやっぱり体が冷える。私としてはあったかいお茶を一緒に出してくれる店を名店の条件としたい。

１．行ってみた名店

◆「ねいろ屋」＠荻窪
ラーメン屋さんとしても名店だけど、ここのかき氷は感動的。美味しいのももちろんだけど、最後まで体が冷えない。数あるかき氷の名店の中でも、頭ひとつ抜けた技術をお持ちな気がする。

◆「マユール宮崎台店」＠宮崎台
紅茶専門店のかき氷。紅茶が最高に美味しい。「こんな美味しい紅茶、初めてだ」と思ったくらいである。そしてかき氷の繊細さも感動級。ここ、最高。

ひみつのいちごミルク　７００円
これで７００円はとても安いと思う。
人気店かつ、目の前の道路が狭くて長蛇の列は顰蹙な立地なので整理券方式をとっているところもいい。指定時間まで日暮里を散策していれば無理なく時間を過ごせる。ここらへんは、商店街であり観光地でもある日暮里に立地する強みだ。
感じのいい素敵なお店だが、店内がちょっと狭い。もう少し広い店舗に移転したら嬉しいのだけれど。

◆「なごカフェ」＠神保町
かき氷専門店ではなく、沖縄料理店なので、かき氷をオーダーできる時間などに制限があるので注意。
沖縄では「ぜんざい」がかき氷。さすが南国。「ぜんざい」は白玉と小豆入り。これが美味しい。
店内のそこここに置いてある沖縄関連の本もいい。
存分に読み漁りたいところだが、割といつでも混んでいるようなのでそういうわけにもいかない。

◆「しもきた茶苑大山」＠下北沢
日本茶専門店のかき氷。
抹茶かき氷　６５０円
ほうじ茶のかき氷　６５０円

かき氷と一緒に供される温かいほうじ茶がまた日本茶専門店クオリティ。

◆「麺やKABOちゃん」＠駒込
ラーメン屋さんなのにかき氷が名品の域。かき氷専門店にまったくひけをとらないクオリティ。ていうか、「ひみつ堂」より、「KABOちゃん」の方が美味しいと思う。

◆「天文館むじゃき本店」＠鹿児島中央―天文館通
「白熊」で全国的に名をとどろかせる有名店。ふわっと仕上がっていて、自家製ミルクの味のバランスもよくて流石のクオリティ。
「白熊」は昭和22年（1947年）に考案されたそうな。あくまで原型が考案されたのは、ということだろう。戦後すぐに現在のクオリティだったはずはない。現在、１階「白熊菓琲」はとてもお洒落なカフェになっている。時代とともに進化していくクオリティの向上こそ「むじゃき」の強さなのだろう。

◆「志むら」＠目白
夏はかき氷目当ての行列のできる和菓子屋さん。和菓子の名店だけに、私は「宇治金時」900円とか、ちょっと他ではみない「吟醸甘酒」800円が気に入っている。

志むら

ジャンル：甘味処
住所：豊島区目白3-13-3
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(写真提供：自由人ラビット)

◆「埜庵（のあん）」＠鵠沼海岸（くげぬまかいがん）
本も何冊か出ていて、かき氷界の超有名店のようだ。藤沢から小田急線で２駅。
駅に近いとはいえ、インターネット時代でないとたどり着けない場所にあると思う。
お店は普通の住居用建物をお店として使っていてちょっと不思議な感じだ。２階は割と広々と席間のスペースのとってあって居心地もいい（2014年2月来訪）。

しかし、いくら地の利があるとはいえ冬も行列のできるかき氷店て凄いな。

川上徹也, 石附浩太郎著「なぜ、真冬のかき氷屋に行列ができるのか？」