ラスクと揚げ饅頭の出発点と到達点

昔、近所のパン屋さんで売れ残りのバケットをラスクにして売っていた。
ラスクは売れ残りがあった時のみ作る二次加工品だからいつも店頭にある主力商品ではなかったし、硬くてそれほど美味しいものではなかった。

ラスクの認識が変わったのはここ数年のことだ。都内に次々ラスクの名店が出店してきた。代表的な名店をいくつか挙げてみよう。

★★ラスクの名店★★
ガトーフェスタハラダ
http://www.gateaufesta-harada.com/app/home.html
ここのガトーラスク(グーテ・デ・ロア)、やっぱり他店より一歩抜けて美味しいと思う。行列になるのも納得。

麦工房 CYBELE(シベール)
http://www.cybele.co.jp/
一番プレーンなラスクが一番美味しい。

東京ラスク
http://www.tokyorusk.co.jp/
包装などはここが一番お洒落か。

★★

軽い。口当たりがいい。絶妙。「え、ラスクってこんなに美味しいものだったの?」
なるほど、確かにこのレベルのラスクは出来うる、と実際食べてみてはじめて気がついた。コロンブスの卵的な気づきだ。

間違いなく言えるのは、これらのラスクは最初から「おいしいラスクを作ろう!」というところを到達点にすえて仕事が始まっている。バケットは最初からラスクを作るために焼いている。
バケットが売れ残った。どうしようか。ラスクにでもするか」という「結果的に出来たラスク」と全く違ってくるのは当然だろう。

そして最近「おっ」と思ったのが揚げ饅頭。

今まで揚げ饅頭とは売れ残った饅頭を揚げることで再商品化したものだと思っていた。
よって揚げ饅頭というものはおいしいわけがないというのが個人的見解だった。揚げ物とは古くなったものをごまかすための調理法でもある。
ところが。

山形県天童の一本杉堂菓子店 「揚げ饅頭」
http://r.tabelog.com/yamagata/A0605/A060501/6004460/

カリっとした食感。味のバランスもいい。小ぶりなので食べやすい。これは文句なしに美味い。

この揚げ饅頭は最初から美味しい揚げ饅頭の完成を到達点として作られている。
古くなった饅頭の二次利用とは明らかに次元が違う。

ん?ラスクと同じ?

この一本杉堂の揚げ饅頭はわざわざ天童のお店に出向かないと手に入らない。非常に入手が難しいのだが、実は同じような「揚げ饅頭として高い完成度を誇る逸品」が全国にあるのかもしれない。

ここ数年で全国的に知られるようになったが、もともとガトーフェスタハラダは高崎、シベールは山形で知る人ぞ知る有名店だった。

ラスクの次にブレイクするのは揚げ饅頭か。そうだと嬉しい。