ブリューゲルのみた子ども

ブリューゲル展に行ってみた。
「農民のブリューゲル」と呼ばれたピーテル・ブリューゲル1世からはじまる一族なだけに、農民を描いた絵は多い。その中の1枚である。

ピーテル・ブリューゲル2世「聖霊降臨祭の花嫁」1616年以降

農村の祭りの絵だそうな。

少年と少女が花婿と花嫁に扮して列を作り、お祝いのごちそうをもらうために練り歩いている場面である

子ども達の体形も表情もまったく子どもっぽくない。単に「小さな人」として描かれている。
現代人である私たちの眼では、とても不自然に思える絵だ。

かつて乳幼児期を過ぎた子どもは「小さな大人」として扱われたというが、画家の目には確かに「子ども」ではなく「小さな大人」として見えていたようだ。

子ども特有の体形というのは、今も1600年頃も同じようにあるだろうに。
子どもらしい表情というのは、ひょっとしたら時代と環境によるのかもしれないが。

しかし、ブリューゲルの同時代人はこれを不自然と思わなかったのだろう。

ブリューゲルは子どもが描けない残念な画家」というのではなくて、「その時代、子どもはどのようにみえていたかが期せずして雄弁に語られている一枚」なのだろう。


【美術展】
ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜」
http://www.ntv.co.jp/brueghel/
2018年1月23日(火)〜4月1日(日) 東京都美術館