電卓の黎明期とその完成
1967年発売のポータブル電子計算機
広告のコピーが挑発的だ。
「軽いからといって投げないでください」
重量6.3㎏。そして価格26万円。
いや、6.3㎏、軽くないし。そんな重いもの、投げないし。
大体、26万円なんて高いもの、投げない。ていうか、そうそう買えない。少なくとも個人では買わない。また、会社であっても購入の決裁を通すのは難しそうだ。というか、普通、通らない。
「ソロバンの方がよほど軽くてポータブル。安いし」
どうみても、ソロバンの圧倒的優位が際立つ。
しかし、1970年代前半には早くも状況が変わる。
1972年、カシオが「カシオミニ」を12,800円で販売。
更に1975年には「パーソナルミニ」が4,800円で販売される。
ここまでくると、個人でも買える。オフィスばかりではなく家に電卓があるのが当たり前になる。
重さも300gそこそこ。
ほんとにポータブルになったので、営業現場に電卓を携帯していくことが可能になったのは大きいと思う。正直、便利すぎる。会社が買ってくれなくても使いたいレベルだ。70年代は、電卓を自腹購入した営業担当もたくさんいたのではないか。
そして多分、ソロバンがあまり得意ではない人が多い部署から電卓に移行したのではないかな、と想像する。経理部が一番最後までソロバンを使っていたり。
退職までソロバンを使い続けた人は多かっただろう。ことにソロバンが得意な人は慣れたソロバンから電卓に移行するメリットを特に感じなかっただろう。
電卓が普及するまでは、ソロバン技能は、採用条件でもあり、評価対象でもあったわけで、そこが電卓によって「特に必要ない技能」になってしまったことを受け入れられない人もいただろう。
今、ソロバンのある職場はほぼない。
古い会社なら、倉庫や棚の片隅から、ソロバンが発掘されることがたまにあるかもしれない、くらいだ。
「読み、書き、ソロバン」のソロバンが消えたのはそんな昔のことではなく、こんなあっという間に消えた、というのに、しみじみ驚く。
ちなみに、今、電卓といえば、カシオかシャープだ。
個人的な愛用電卓はカシオだ。
単に慣れもあるけど、液晶表示が見やすくて、キーが押しやすくて快適。
さりげに検算機能はとても便利。
今、いくらくらいするのだろう。
え?税込みで6,751円?(2017年5月現在)
定価は12,800円(税別)みたいだけど。
【カシオ JS-20WKのスペック】
電源種類 : TWO WAY POWER(CR2025)
電池数 : 1
電池寿命 : 約7年
サイズ(奥行×幅×高さ) : 174.5×107×24.2mm
質量 : 210g
カシオ 本格実務電卓 検算・税計算 ジャストタイプ 12桁 JS-20WK
- 出版社/メーカー: CASIO(カシオ)
- 発売日: 2004/12/10
- メディア: オフィス用品
- 購入: 3人 クリック: 35回
- この商品を含むブログ (3件) を見る
基本、21世紀になってから、電卓のスペック等々にはたいして変化なさそうだ。
電卓、あっという間に完成形に到達してしまっている気がする。