東京とはどこのことか
もちろん、「東京都」の範囲はわかっている。
でも、江戸川区在住の人が近所での会話で、「川向うに行くことを“今日は東京に行く”と言ったりする」というのを聞いて、「そうですよね」と膝をうった。
江戸川区、板橋区、練馬区あたりは、割と畑が広がっていたり、駅の周辺も鄙びていたりして、「ここは東京ではない」と強く思ってしまうことが多々ある。
で、やっぱり住んでいる人もそこを「東京」とは思ってないのだ。
「東京都」と「東京」の範囲は違うのだ。
多くの人で賑わい、かつ、東京を象徴するような何かがある「東京」というエリアがあると思う。
で、どこが「東京」なのか、である。
感覚に依存する問題だから、当然、人によって「東京」の範囲は違う。
散々、都内を徘徊した結果、自分はどこを「東京」と思うか考えてみた。
やっぱり東京の中心は皇居だ。皇居周辺や丸の内付近を歩くと、しみじみと「東京さ、来ただ」という感慨にふけってしまう。都民なのに。
皇居や国会議事堂や丸の内やあの辺りは、「国家の威信」みたいなものを意識してつくりこんでるエリアなわけで、そこは素直に「ははぁ」と感嘆して心を打たれてしまう。
この辺りは「The 東京」とでもいうべきエリアだ。
そして、東京と言えば山手線。とりあえず山手線の内側は、問答無用で東京だと思う。
で、まず山手線の東側をみてみる。
浅草は昔からの繁華街、東京の川と言えば隅田川。川を越えて、国技館がある両国、スカイツリーのある押上、錦糸町は東京だ。
そこから北に目を向けていって、山谷、吉原あたりも東京。
しかし、そこまで。
王子あたりは既に半分埼玉に足をつっこんでいる気がしてしまう。
王子、江戸時代に整備された飛鳥山公園があるんだが。渋沢栄一ゆかりの地だし。
でも、渋沢栄一ももともとは埼玉深谷の人だし。
山手線の西側はどうか。
中野、高円寺、阿佐ヶ谷、荻窪、西荻窪、吉祥寺と、中央線沿線は個性的で魅力あるエリアだ。
吉祥寺までは文句なしに「東京」。
三鷹になると、ここは武蔵野台地、東京郊外という感じが漂ってくる。
吉祥寺から南側に目を走らせる。
明大前、芦花公園。
ここら辺、微妙なエリアだ。もう少し南をみてみる。
三軒茶屋
代官山、中目黒、自由が丘。
まさに「あこがれの東京」エリアだろう。確かにお洒落なエリアだ。
一応、「東京」はここまで。
やっぱり二子玉川や田園調布は、東京郊外だと思う。
あらためてぐるりと東京の地図をみてみて、「東京」と考える範囲は、東京23区ともずれていておもしろい。