ピラミッド校舎解体の当然

2008年、学習院大学のピラミッド校舎が解体された。

(画像出典:学習院広報「さようなら、ピラミッド校舎」)

建築後47年を経て、耐震、防水、照明、音響、空調などいろいろな面で大がかりな整備工事が必要とされ、
また内部構造や設備も現在の大学の授業には不向きであることなどからの決定です。

このピラミッド校舎、相当にイケてない代物だったことは明らかだ。

ピラミッド校舎、正式名称は「大学中央教室」という。名称からわかるように、大学の講義用教室だ。

大学の講義用教室として、
・700名もの若者を詰め込むのに「耐震に問題あり」は許されないだろう。
・「防水に問題あり」については苦笑するしかない。
・「照明に問題あり」も、「建築設計の稚拙さ」と酷評させていただく。
・「音響がよくない」というのも、講堂として致命的な欠陥だ。講義の質にダイレクトに影響がある。
・「空調に問題あり」も、受講生の集中がそがれ、講義にさしさわる。

内部構造の問題で言えば、このピラミッド校舎、「黒板がみえない」席が多すぎだった。講義において、黒板のみえない席の存在意義はなんだろう。飾りか?トラップか?

学習院は、「現在の大学の授業に不向き」と書いているが、はっきり言えば、「設立当初から大学の授業に不向き」な教室だった。

断言しよう。

ピラミッド校舎は大失敗作。
「誰だよ、ここ設計した奴」

あ。前川國男

いくら高名な建築家の作品でも、失敗作は失敗作。

建物は、フォルムの美しさも確かに重要だが、建物の本来の用途に支障がありまくるようでは「ポンコツ」と酷評すべきだ。
ことに、フォルムによって用途に弊害が出まくるようでは本末転倒としか言いようがない。


大学の講義教室として支障がありまくる建物など、解体すべきに決まっているだろう。

学習院大学、47年目の当然の決断。むしろ遅すぎたくらいだ。


学習院広報「さようなら、ピラミッド校舎」2007年12月
http://www.gakushuin.info/%E5%AD%A6%E7%BF%92%E9%99%A2%E5%BA%83%E5%A0%B1_%E3%83%94%E3%83%A9%E3%83%9F%E3%83%83%E3%83%89%E6%A0%A1%E8%88%8E.pdf


【ピラミッド校舎(大学中央教室)】
竣工:1960年(昭和35年
設計:前川國男建築設計事務所