そごう柏の回転レストラン

そごう柏店は、なんと、1973年開店。最大の特徴は、14階にある回転レストランだ。

日本で回転レストランが続々とつくられたのはいつごろだろうか。
いまや回転稼働しなくなった回転レストランが多い中、そごう柏は、最後まで回転稼働を続けた。

そごう柏店は、2016年9月に閉鎖される。


回転レストランは1時間で1周。柏は高層ビルがあまりないので、ぐるりと柏の町を見渡せる。柏駅前なので線路と電車がみえるところもいい。

ただ、「動いてる」感が常にあるので、「ここで立ち働くのは無理」という人もいそうだ。
乗り物酔いのように酔ってしまうお客もいるだろう。

それにしても、コストがかかりそうなレストランである。
知りたいことは2つ。

1、開店時間中ずっと回転させるコストは1日あたりいくらかかるのか。
2.年間のメンテナンス費用はいくらか。

相当かかるだろうことは推測できる。回転レストランは、高級レストランにせざるを得ないだろうな、と思う。
そごう柏で、回転レストランとして営業しているのは、ホテルオークラの中華料理店「桃源」だ。

ざっとみたところ、18卓プラス円卓、といったところだ。1卓6人のテーブルが多い。

利用者の立場に立つと、回転レストランに来たからには、1周、がっつりと風景を堪能したい。もし、回転する風景を楽しみに来たならば、風景を背に座る円卓席とか、がっかりの極みだ。風景を堪能するなら、窓際席は譲れない。と考えると2人以下の利用になる。
多分、シーンとしてはデート利用が多いのではないか。
個人的には、相方に気がねなく進行方向の席を確保したいので、いっそ1人利用がベストだと思う。

しかし、それではレストラン側がペイしない。レストランとしては、6名テーブルは6名で利用して欲しいところだろう。

回転レストランは、普通のレストランより顧客とレストランの利害背反が顕著だ。


そごう柏店は、2000年のそごうの破綻を乗り越えて、2016年まで生き延びた。


2000年当時の有楽町そごうの酷さは今も鮮明に覚えている。まったく活気がなく、閑散としていた。店員のやる気も感じられず、完全に死んでいた。
「今はいつ?ここはどこ?」。とても東京の中心地とは思えない商品や店内のダサさに唖然とした。有楽町そごうは、閉鎖され、ビックカメラとなって再生した。
有楽町そごうは「残らなくて当然」「ビックカメラという便利な店に生まれ変わって本当によかった」と思ったものだ。しかし、建物は1957年竣工と、大変古いが今日に至るまで建て直しは行っていない。

2000年当時、そごう柏店はどんな状態だったのだろう。
今、2016年のそごう柏は、そこそこ買い物客も入っているし、それなりに売れそうな商品を置いてあるし、デパートとしては「悪くない」状態にみえた。

とはいえ、柏駅利用者は、2000年当時と比べると確実に減少している。
JR柏駅の1日平均乗車人員は、2000年は149,376人、2016年は119,671人に減少。

柏駅東武野田線の駅もあるが、東武野田線利用者は、動線上、西口にある高島屋の方が断然使いやすい。
JR柏駅利用者には当然、野田線乗り換えの利用者が多数含まれることを考えると、そごう柏店の立地はなかなか厳しい。

むしろ、今日までよく頑張ったという気がする。

そごう柏は、そごうのあの破綻から16年の時を経て、セブン&アイホールディングの下で終焉を迎える。

回転レストランのあるあの建物、取り壊されるとすれば惜しい気もするが、日本としては、他のビルディングと比べて短命というわけでもない。

そごう柏の回転レストラン、閉鎖前に行けてよかった。

<参考>
2016年3月8日「株式会社そごう・西部 西武旭川店ならびにそごう柏店の営業終了について」
http://www.sogo-seibu.co.jp/pdf/20160308_01.pdf

そごう柏店 店舗略歴

開店日:1973年10月10日
売り場面積:32,593㎡

社員数:本社員76人、契約社員159人、計233人(2016年3月1日)

売上高:2016年2月期 115億円
    ピーク1993年2月期 590億円

沿革:2003年2月全館リニューアル実施
   2005年3月 ビックカメラ開店