目黒雅叙園

東京には、多くの有名ホテルがある。

帝国ホテル、ホテルニューオータニホテルオークラペニンシュラ八芳園、椿山荘・・・・、

そして目黒雅叙園

行ってみるまで、雅叙園は名前を聞いたことのある有名ホテルの1つ、程度の認識しかなかった。

甘い。雅叙園は他のホテルとは一線を画す。

あまりに独特の美的世界を展開していて度肝を抜かれる。

よく言えば、絢爛豪華。
直截に言えば、ド派手。ケバイ。

初めて見たときは、吉原などの遊郭の流れをくむホテルかと思った。
あと、「ヤクザ受けしそうなセンスだな」「昭和の時代は、ヤクザの利用が多かったんじゃなかろうか」とも。

調べてみると、とりあえず、遊郭の流れをくむということはないようで、そこは違うらしい。

昭和6年(1031年)着工と、思いのほか、来歴は新しい。

目黒雅叙園こそ、それまでの料亭が一部のごくわずかな上流階級の人に限られていたのを、婦人・子供・家族連れまで含めて、庶民が気軽に利用できることを目指してつくられた料亭であった。
(出典「時の流れ 目黒雅叙園」)

すごいな。この狂気さえ感じる異空間が、家族利用を想定してつくられたとは。

しかし、庶民受けするセンス、というのは、イコール、ヤクザが好むセンスでもあろうから、ヤクザ利用が多かったのでは、という推定は当たっているのではないか、と秘かに思っている。

それにしても、明らかに採算を度外視しているとしか思えない豪華絢爛たる部屋の数々。
螺鈿エレベータなんて、本当に圧巻だ。「こんなん、まず他ではないわ」と思う。

ビジネスより「こういう美的世界を実現させたい」という狂気のような情熱を感じる。

とりあえず、雅叙園が、東京でぜひとも観ておきたい名所であることは間違いない。

現在、「百段階段」は、東京都指定有形文化財となっているが、木造建築だがら、どうしても劣化が気になる。

どう保全していくのか、そこらへんは大変興味深いところだが。


<参考>
「時の流れ 目黒雅叙園