宝くじを買うようになったら

とある知人から聞いた話である。

知人の関係している会社で横領が発覚した。

億単位まではいかないものの、個人レベルとしては割にシャレにならないくらいの金額の横領だったらしい。
横領した社員を呼んで会社側が事実確認をする席に知人も同席した。

その最中のこと。

横領した社員の財布からごっそり大量の宝くじが。

「なんだ、これは」
「宝くじが当たったら横領の穴埋めができると思って」

溜息をつきながら知人は言った。

「つくづく思ったね。人間、宝くじを買うようになったら終わりだなって」


宝くじ売り場をみると、つい、この知人の言葉が耳によみがえる。