Kindleの無料書籍と図書館

Kindle Paperwhiteを買ってみた。それにしても7,980円は激安だ。

Kindle Paperwhite Wi-Fi (第5世代)

Kindle Paperwhite Wi-Fi (第5世代)

電子書籍にいろいろ期待してたけれど、個人的に予想外で驚いたのは過去の名作たちが無料で読めることだ。なんと無料本が46,451件もある(2013年3月現在)。

無料書籍のラインナップが凄い。

中島敦山月記」は何度読んでも完璧すぎて唸る。

そして中島敦、読み放題。

新美南吉といえば「ごんぎつね」や「手袋を買いに」が有名だが「おじいさんのランプ」も含蓄深い名作だ。

そして新美南吉も読み放題。

有名な最近の漫画にもかかわらず無料書籍というのもある。
佐藤秀峰ブラックジャックによろしく」(1〜13巻)。取材力と伝達力に脱帽し、作品の熱量に圧倒される。

★★★

昨年、宮古を旅した。
駅前の観光案内所で図書館について尋ねた。

宮古で最も資料の充実した大きな図書館といえば、駅近くのこの図書館ですかね」
宮古にはそこしか図書館はありません」
「え、宮古市はこんなに広いのに?!(めっちゃ市町村合併してるやん。田老町とか旧市町村の図書館は?)」
「広くても人は少ないですから」

宮古市の面積は約1260K㎡、市町村合併の結果、岩手県で最大の市町村となっている。
しかし総人口は57,000人と面積に比して確かに少ない(2012年現在)。
少ないが、57,000人に対し1図書館というのも少ない気がする。それに宮古駅に遠い集落もある。

私には図書館が近くにない住環境に育つことは考えられない。
それは多くの本との出会いの機会、知る機会、学ぶ機会、知的探求の場が与えられていないという不利益を被っていることを意味する。

とはいえ図書館を過疎地域に作って維持することは費用対効果から不適切と言わざるをえまい。図書館は財政の厳しい市町村が削りやすい施設の一つでもある。

電子書籍の無料本は、この過疎地に生まれる不利益を劇的に解決する役割を果たす。

例えば、100人しか児童がいない小中学校が4万冊もの蔵書を持つ図書館を持つなど非現実的だが、100人の児童に約8000円のKindleを提供することはたった80万円で可能だ。

電子書籍が可能にする機会平等がある。技術の進歩とはやはり凄いものだと驚嘆するのだ。