西暦でいこう!

日本で日々ストレスを感じるもの、それは和暦。

連続性が皇位継承により途切れてしまう和暦はすでに現代にそぐわない。と断言しよう。

江戸時代以前は、10年を超える統計だのそれにもとづく分析だの長期に渡る契約管理だのがなく「すべてリセット」でもそれほど弊害はなかったのかもしれない。

江戸時代までは「気分を一新」するために改元されることもあった。当時としては、この「時代の気分を一新してみる」という効果の方が重要だったのだろう。

現在は、天皇交代時に限り改元されることになっている。

2  元号は、皇位の継承があつた場合に限り改める。
元号法

昭和の時代、明治の時代、大正の時代、そういう言い方の方が時代の色は感じ取れる。私が小説家などだったら和暦をこよなく愛するだろう。
もっとも昭和の時代は長すぎて、どんな色を感じるかが受け取り手や文脈によって大きく変わってしまうが。

「在位30年したら皇位継承ね」とかいうことではないから、元号は何年続くか分からない。

明治も大正も昭和も、天皇崩御により皇位継承が行われた。人間の生死によるのなら、月末、月初という区切りすら無理だ。

というわけで、こんなことが起こる。

「この○○の施行って、平成元年だっけ?」
「違うよ。1月6日施行だから昭和64年だよ」
注)平成元年は1月8日から。

…アホくさすぎる。
文書作成でいらん気を使うバカバカしさといったらない。

更に統計や契約管理の面からは本当に和暦は不適切だ。だから統計データでは西暦を併用する。しかし、表題などでは和暦使用。
和暦と西暦が一瞬で脳内変換される人が一体どれだけいるのか。

心から言いたい。「西暦でいってくれ!」

「どうも日本は、統計みないでフィーリングでものをいう人が多い」という風土の原因のいくばくかは和暦使用にあるのではないか。

「和暦使用は本当に勘弁して欲しい」と多分、多くの人は思っていると思う。

しかし、行政は頑なに和暦使用だ。

その弊害を挙げようではないか。

1.システム負荷

社会保険庁のシステムなど、ただでさえ複雑な年金制度に加え、この和暦負荷までかかるわけで、システム関係者に対して「ご愁傷様」と手を合わせざるをえない。
というか、和暦使用で、工数(すなわち人件費・経費)や不具合可能性は確実に上がっているはずだ。
ちなみにシステム経費は税金でまかなわれ、不具合の影響は日本国民全員にふりかかる可能性がある。

2.行政対応時の民間企業の負荷

許認可官庁などの行政の和暦使用にあわせて、和暦を使うことにしている民間会社で仕事をする社員は「超迷惑!」と叫びたくなる場面があるだろう。
文書作成時に余計な気を使わなければいけない。
そして社内使用文書にあわせてシステムも和暦を取り入れざるを得ないだろうからシステム経費は若干なりとも高くなっているはず。

3.海外対応時の文書作成負荷

民間でなくても外国とやりとりのある省庁は、英文・和文両方の文書作成時、若干面倒なはず。
多分、海外対応のある省庁などの職員の頭には「瞬間和暦西暦変換装置」が自然と強固にできあがっているだろう。瞬間変換できないと業務効率がすごく悪そうだ。

それにしても文書を読む際にも「この英文部分の日本文対応部分はどこ?」とか思ったときに、年表示が西暦使用であれば、ビジュアルに同じ数字4桁を道標として探すことができたりするが、和文が和暦だとそれができないのも不便だ。

★★★

それにしても効率を重視しなければならない民間でもいまだに和暦が使われているのが不思議だ。

ちなみに、いわゆる護送船団方式であった業界の企業や、市場を原則として国内に限っている企業・組織、そして国家に近い企業・組織ほど、和暦使用の傾向が強い気がする。

例えば、終身保険や年金保険など超長期契約を扱うにもかかわらず、生命保険会社の多くはいまだに和暦で申込書を記入させている。

どう考えても和暦では契約は管理できないから、和暦入力後にシステム内で西暦に変換しているはずだ。
たいして複雑な「かまし」ではないものの、和暦を利用することで、システムは無駄に複雑になっているのは事実だろう。
複雑になればトラブル可能性が上がる。

また、改元が行われればシステム対応が必要なのではないか。ついでに「平成」と印刷されている帳票を作り直す必要があるだろう。
その際にはどの程度の経費がかかるのか是非知りたい。勿論、それも保険料に含まれるのだから。

★★★

民間については、別段和暦でも結構だ。和暦であることのコストはその会社の提供する商品価格に含まれるし、トラブルリスクもその会社が負うものだ。そうした無駄の積み重ねで価格が高くなり顧客が離れて破たんしようが、それはその会社の判断の結果だ。

しかし行政のシステムや資料は、税金により運営されている国民の共有財産なわけで。

「行政の無駄を省く!」というなら、西暦への移行の効果は意外に高いと思う。
平成の後は、そろそろいい加減、西暦に切り替えるべきだ。

その方が行政の統計資料も格段に使いやすくなる。

ついでに行政にあわせて(気を使って)和暦を使用する民間の無駄も省ける。