大塚国際美術館

徳島県鳴門市の大塚国際美術館に行ってみた。

大塚国際美術館のホームページ。
http://www.o-museum.or.jp/

コンセプトは「オリジナル原寸大の陶板で再現された世界初の陶板名画美術館」。

大塚製薬という一企業がこれだけの美術館を創りあげたことに驚嘆する。

確かに陶板名画からは、例えば、ゴッホやモネの絵から感じる揺らめきたつような狂気、クリムトの絵から感じる陶酔を体感することは出来なかった。

絵画と陶板では質感が違うし、やはり本物からでなければ感じ取れないものはある。

実は私が大塚国際美術館に行こうと思いたったのは、「クリムトを観た感動をウィーンまで行かずして徳島で再び体験できるなら安くてもうけもの」という動機で、そういう意味では目的は達せられなかった。

しかし、この美術館では本物から得られる感動を求めてがっかりするのではなく、「陶板でここまで再現できるのか!」と驚嘆するのが正しいだろう。

なにしろここは極東日本。「ヨーロッパはあまりに遠し」。

大塚国際美術館では、日本に居ながらにして西洋美術をゴージャスに見聞することができる。
「西洋美術を紹介する美術館」、「西洋美術を学習する美術館」として非常に価値がある。

大体、古代ローマ、中世ヨーロッパ、ルネッサンスバロック、近代、現代と、これだけ体系的に有名絵画をそろえた美術館など世界にない。

古代ローマ美術の高度さに驚嘆してみたり、中世ヨーロッパ美術って結構マンガ的?と思ってみたり、モナリザの美しさを改めて発見してみたり。

漫画家や映像作家などにとっても利用価値は高いだろう。「これは使える」というような作品のヒントが沢山ころがっている。

同じテーマの絵画見比べもおもしろい。
例えば「受胎告知」もその解釈、表現が本当に様々だ。中にはマリアにも天使ガブリエルにも何の神聖さも美しさも感じられなくて「なんだこりゃ」と思ってしまうものもあったりする。

また、大きさの体感だけでも意義のあることだろう。
教科書でおなじみの「皇帝ナポレオン1世とジョゼフィーヌの戴冠」も、「おおお、こんなに大きいのか」と結構なインパクトだった。

入場料は一般3150円。
行く前は「高いっ」と思ったが、実際に行ってみての感想としては高いとは思わない。
3000円以上、充分楽しめる美術館だと思う。

なにより小中高生 520円という料金設定は、大塚製薬の心意気だろう。

こういう美術館も大いにありだ、と思う。
間違いなく、大塚国際美術館は日本を代表する美術館の一つだ。
せっかく徳島空港も近くにあることだし、空路のアクセスが今より安く手軽になったら、アジアにも大いに売り込める美術館だろう。