レシピという文化遺産
「これこれこれこれ!」
「こういうラーメンが食べたいんだよねっていう私の理想がそのままどんぴしゃ具現化したラーメンがここに!」
初めて食べたときそう思った。そして久しぶりに食べる都度そう思う。
このラーメン屋さんに向かう時、私はいつもほんの少しドキドキする。
70歳は優に超えた老夫婦二人でやっている小さなラーメン屋さんである。いつ引退されて閉店してしまってもおかしくない。
その日がきたら、あのラーメンは二度と食べられないのだろうか。あの店は支店もなければ後継者がいる様子もない。
名店の中には弟子や後継者がしっかり変わらない味を継承するお店もある。が、そうでない店もまた多い。
これまでも誰も承継せずひっそりと消滅してしまったお店の逸品も数多あったのではなかろうか。
せめてレシピさえ残っていれば。と思う。もしかしたらレシピを手がかりに一度消えてしまった逸品でも復活できるかもしれない。
名店のレシピ収集、誰かあるいはどこかが、できれば体系的に取り組んでくれないだろうか。
これぞ昭和のラーメンの決定版!
子どもの頃よく食べたラーメンに似てる。だから「この美味しさの半分は懐かしさで出来ている」かもしれない。
確かに21世紀のラーメンはもっとおいしく進化できそうにも思える。でも最近、なぜかこの系統のラーメンをあまりみかけなくなった。
★★★
(2012年8月追記)
探せばあった。私好みのさっぱり醤油ラーメン。しかもひそかに進化していた。
目白「さんかく」。
http://tabelog.com/tokyo/A1305/A130502/13050903/
ここのラーメンは掛け値なしで美味しい。多分、素材にもこだわっているのだろう。
「私としては、ミシュランの星付レストランの大方の料理よりここのラーメンの方がおいしいと思う」ときっぱり断言する。
お茶もおいしい。店内に流れる音楽はジャズ。
21世紀の洗練。おみそれしました。