都内デパートの耐震性

その落日がとりざたされようとも、私はデパート愛好者だ。
デパートは何しろ入場料無料。食器売り場などはまさに美術館のようで楽しい。
そして食料品売り場の質の高さは感動もの。例えば新宿伊勢丹で売っている「砂肝」はまるで宝石のようだ。

建物としては日本橋三越がもっとも見ごたえがある。その昔、日本橋三越の重厚さや吹き抜けに圧倒されたものだ。なにしろ背負う歴史の華々しさならどこにも負けない。

1914年
9月15日に完成した日本橋本店新館は「スエズ運河以東最大の建築」と称され、建築史上に残る傑作といわれた。商品は呉服を中心に百貨全般にわたって取りそろえ、日本初のエスカレーターやエレベーターも設置。近代百貨店としての形態を完成した。
(出典:三越ホームページhttp://www.mitsukoshi.co.jp/corp/history.html

残念ながら1923年、関東大震災日本橋本店を焼失しているが、

1927年
日本橋本店に三越ホール(現三越劇場)を開設。
・日本初のファッションショー開催。
(出典:三越ホームページhttp://www.mitsukoshi.co.jp/corp/history.html

まさに日本の文化を担ってきた。

1932年の地下鉄「三越前」駅開業にあたっては、確か三越側が地下鉄駅とデパートとの連結することを提案したはずである。
そして1949年、あの下山事件の舞台にもなっている。この階段を下山総裁は下ったのだろうか。一体、誰と。などと想像すると時を超えるような錯覚さえ抱いてしまう。

日本橋三越は、歴史を刻み様々な物語をはらむ建物だ。

しかし「歴史ある」とは「古い」と同義である。密かに「耐震性は大丈夫なのか」と不安に思っていた。

調べてみると1995年に「建築物の耐震改修の促進に関する法律」が施行されている。そして東京都都市整備局が「耐震改修促進法による認定建築物」を公開していた。

http://www.taishin.metro.tokyo.jp/tokyo/pdf/08_02.pdf?var1309
(2014年リンク更新)

2008年4月1日現在で耐震改修促進法の認定建築物となっている都内デパート

1.三越銀座店
2.松屋銀座
3.高島屋東京店(日本橋
4.三越本店本館(日本橋
5.伊勢丹本店本館(新宿)
6.伊勢丹本店新館(新宿)
7.東京建物新宿ビル(小田急ハルク)
8.三越新宿店本館
9.西武百貨店池袋店
10.松坂屋上野店本店


「お買い物は耐震改修促進法による認定建築デパートで」

それにしても戦前と変わらぬ姿をさらしつつ名前の見当たらない渋谷東急・東横店が気になる。

<2013年追記>
東急百貨店東横店、東館の営業は2013年3月末日で終了した。東館は1934年の開業という歴史ある建物だが、取り壊しは全く残念ではなく、心からほっとするニュースだった。2013年まで東京で大地震がなくて本当によかった。
って、東急、そんな事業運営でいいのか。