大阪船場の芝川ビル

大阪は船場にある「芝川ビル」。

ひときわ美しく目をひく建物だ。
独特のデザインは、施主の柴川又四郎氏の趣味で、古代中南米マヤ、インカがデザインソースらしい。

建物前の電線と電柱が邪魔だけど。

なんと1927年竣工。
1923年の関東大震災直後に起工されたせいか、「これでもか」とばかりに防火対策がとられている。

具体的にみてみよう。

・窓や扉に鉄扉をつけ、建物内に火が入るのを防ぐ。
・鉄扉を備えないガラス窓は、地震や熱風でガラスが割れても火が入らないように金網入りのガラスを使う。
・部屋の床材は、不用意にタバコを捨てても失火しないよう不燃のタイルを使う。
・家具の多くも金属や石材を使用する。
・各階の階段には自動防火シャッターを設置。

す、すごい。
おかげで、空襲で焼夷弾の直撃を受けても被害は限定的で済んだという。
幸運もあろうが、人知を尽くして残るべくして残った建物だ。

そうはいっても、これだけ古いビル、メンテナンスが高くつくとか、不便とか、不具合はたくさんありそうだ。
それでも、デザインの美しさもさることながら、芝川ビルにしかない歴史と雰囲気の魅力に惹かれる人は多いだろう。

今、芝川ビルに入居しているのはほとんどが店舗だ。

そりゃそうだろう。この「雰囲気」を商売に活かしてなんぼだろう。
事務所としては使い勝手悪そうだし。

【芝川ビル】
基本・構造設計:澁谷五郎
意匠設計:本間乙彦
施工:竹中工務店
竣工:1927年(昭和2年)7月1日
工費:25万円(当時)

芝川ビル公式サイト
http://shibakawa-bld.net/