ピカシェットの家(La Maison Picassiette)

フランスはシャルトルといえば、なんといっても大聖堂が有名だ。

シャルトル大聖堂ゴシック建築の傑作。ステンドグラスの美しさに誰もが息をのむ。
でも、同時に「キリスト教カトリック)の偉大さを見せつけて人々を圧倒し、ひれふさせる」という、中世における大聖堂の政治的目的も濃厚に漂っていて、つい、「けっ」と思ってしまう。

大聖堂は、どうしても信仰より、政治的、社会的目的を前面に感じてしまうのだ。

シャルトルにおいて、私は大聖堂より「ピカシェットの家(La Maison Picassiette)」の方が、断然好きだしお奨めだ。

墓守だったレイモン・イジドール(Raymond Isidore)の創り上げた家と庭。
墓守には、もちろん財力皆無である。
なんと、拾ってきた陶器の破片で創り上げたという、とてもカラフルで可愛くて、幸福感と信仰心に溢れた家と庭なのだ。

私は「信仰はあくまで個人的なものだ」と思っているので、このピカシエットの家の方が遥かに「わたし好みの聖堂」でもある。

この建物と庭の魅力は、私ごときでは、とても写真にとらえられない。
あの幸福感を映し出すことができる写真家が、どこかにいるのだろうか。


ついでに言えば、「ピカシェットの家」は、駅から大分遠い。
シャルトルは、パリから日帰りできる町だが、1泊するのがお奨め。
パリより、断然安くて広くて素敵な宿に泊まれる。