美味しいレストランの要件

「美味しいレストランを開拓したい」と思ったら、とりあえず「食べログ」を参照する。「食べログ」のおかげで発見できたレストランも沢山ある。食べログには本当に感謝している。

でも、時々「この高評価、納得できないなぁ」ということがある。

私的に「美味しいレストラン」の要件として外せないことは何か。改めて考えてみた。

1.清潔であること
とある名店のシェフが言い切った。
「汚くて美味しい店なんてあるわけないですね。清潔であることは料理の基本ですよ」
ごもっとも。
汚い店だと妙なものが混入するリスクが高まるし。そんな状態で、料理のクオリティが保てるわけがない。さらに言えば食中毒リスクも高まる。
近所に「これは」と思う名シェフの小さな店が幾つかあるが、厨房も鍋などの調理器具も、驚くほどピカピカだ。

「清潔であること」は公衆衛生の観点からも譲歩できない。

2.料理やテーブルがしっかり見える明るさがあること
薄暗いレストランはいただけない。
店内やテーブルが見えにくいと、どうしても清潔さがないがしろにされがちだ。大体、料理が見えにくいほど薄暗い店ってどうなんだ。美味しさは視覚も重要な要素で、そこを「ごまかす」ような店はダメだろう。


3.終日全面禁煙であること
「美味しさ」には香りも含まれる。当然、嗅覚が重要となる。タバコの煙は本当にすべてを台無しにする。「終日全面禁煙」は、味を追求するレストランであれば当然のことだ。

4.「コーヒーフレッシュ」なる代物と無縁であること

日本には、コーヒーに「コーヒーフレッシュ」なる珍妙なものを添える風習がある。一応、ミルクを模しているようだが、主体は「植物性油脂」。大体、常温で何か月も保存可能なのに「フレッシュ」ってなんやねん。
あれを入れるとどんなコーヒーも一瞬でぶち壊しである。

大衆的なレストランであれば「コーヒーフレッシュ」が添えられていても日本の慣習への譲歩とみなして許容できる。自分が入れなければいいわけだし。

しかし。
コーヒーへのこだわりを匂わせる店、コーヒー1杯が500円を超える店、料理(酒別)の客単価が5000円を超える店で「コーヒーフレッシュ」が登場すると心底萎える。
「この店の料理人は、こんなものでコーヒーを台無しにすること、台無しなコーヒーで食事を締めくくることを許容するのか」と。

★★★

もっとも上記の要件を満たしたから「美味しいレストランだ」とはならない。
ある料理人が、美味しい料理の来歴を問われて冗談交じりに「やっぱ才能?」と言っていたが、それはまぁ、あるだろうな、と思う。
音楽の才能、絵画の才能があるように、料理の才能というものも歴然とあるのだろう。

実際、「どれもこれもとても時間と労力がかかっているのが分かるが、なんつうか、その、むしろ、ジャガイモをそのまま蒸しただけ、とか、キュウリを切っただけ、で出して欲しい。その方が絶対美味しい。ここのシェフ、悲しくなるほど才能がないな」と思ってしまったことはある。

勿論、音楽や絵画同様、料理もまた「それほど才能がなかったとしても、適切な教育を受けて訓練すれば、それなりに、いや、かなり上手くなる」だろうが。

しかし「要件を満たしたレストランは美味しい」とは言えなくても「要件を満たしていないレストランはないなと思ってしまう」とは言える。

私としては、上記の要件は「美味しいレストラン」を成立させる上でどれも外せない、と思うのだ。