中国映画のすすめ
中国映画が好きだ。
というか中国映画には数々の傑作、名作がある。
千年以上に渡りアジアに君臨したプライドを持つ国。アヘン戦争あたりからの屈辱の歴史。そしてつい最近、文化大革命などという、あまりにも凄惨な歴史を体験した国。
文化大革命で、知識階層や人間の良心等々、あらゆるものを破壊しまくっても、しかしながら、したたかに知性と文化を失わない矜持をみせる国。
個人的には「中国、巨大過ぎ。そんな巨大でなくても。ヨーロッパをみてみい。あんなに1国1国が小さいんやで。1省で1国の単位でいいのでは?」と思っているが、それはともかく。
私のこれまでに観た中国映画の傑作、名作を挙げよう。
◆陳凱歌(チェン・カイコー)監督「さらば、わが愛/覇王別姫」 1993年公開
おそらくもっとも有名な中国映画だろう。京劇役者を主人公として1930年代から文化大革命期の中国を描いた傑作である。
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◆田壮壮(Tian Zhuang Zhuang)監督「青い凧」 1994年公開
文化大革命を描いた傑作。この作品がDVDになってないのは非常に残念だ。
初めてこの映画を観た衝撃は忘れない。
「これって映画版の『ワイルド・スワン』じゃないか」。
ストーリーが、ではなく、そこにある思想が。
しかし『ワイルド・スワン』の著者ユン・チアンはイギリスで生活の基盤を築いた上でイギリスで作品を発表した。そらそうだろう、と思う。中国はいまだ毛沢東は否定していない。あくまで文化大革命は五人組が悪いとされており、あからさまな毛沢東批判はタブーだ。
実際、赤裸々に毛沢東を批判した『ワイルド・スワン』はいまだに中国では出版されていない。
田壮壮監督は中国でこの映画を撮り、中国で発表している。
「マジで?ようこんな映画が発表できたな。監督に身の危険はないのか?」と思ったものだ。
監督自身は豪快磊落で楽観的な人柄であるらしく「身の危険などは感じていない」とインタビューで語っている。
彼は私が最も尊敬する映画監督である。
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◆張芸謀(チャン・イーモウ)監督「初恋のきた道」 1999年公開
この映画、何が凄いといって「少女のひたむきな恋心」のみで1本の映画を創りあげているところが凄い。
恋愛ものの定石、つまり、ライバル登場とか周囲の強い反対といった障害設定なしである。
しかも「父母の恋物語を子が語る」設定にしていることで、最後、ハッピーエンドであることを物語の冒頭でさらけ出している。結末のわからないハラハラ感で観客をひきつけることも放棄している。
いやはや。この一本のみでも張芸謀監督は名匠として映画史に名を残すだろう。映画の中の風景、色彩の美しさは張芸謀監督の真骨頂。
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◆田壮壮(Tian Zhuang Zhuang)監督「春の惑い」 2003年公開
これは非常に繊細な大人の恋愛映画だ。1946年の蘇州という舞台設定が絶妙な恋愛映画の傑作。ただ「初恋のきた道」は万人受けする傑作だが、こちらは観る人を選ぶだろう。私的にはベストな恋愛映画だ。
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