堀の中の県庁

城跡に建つ福井県庁。

江戸時代ならば確かに為政者は堀の中でないと危険だ。
「他領主からの侵略」の可能性もあろうが、それより「領民の一揆」の可能性の方が高い。

なにしろ江戸時代の思想は「農民は、生かさず殺さず」。いかに領民から搾取するかが為政者の根底思想なわけで。

搾取される側が搾取側を襲う可能性は常にある。

堀の中に為政者トップの殿が住まうのは当然だ。城から下々の者を睥睨し、仰ぎ見させることで威光を見せつけ服従させる必要もある。

しかし、日本が民主主義国家となって幾年月。
政治は「市民の、市民による、市民のための」もの。あるいは、「国民の、国民による、国民のための」もの。

一揆などは必要ない。政治は市民と敵対するものには成りえない。


で、この期に及んで「堀の中の県庁」とはいかがなものか。

「視覚で伝える思想」というものがある。それは無意識に人々に伝わり、人々の思想に影響する。

市民は日々県庁を仰ぎ見る。
また県庁職員は、日々、職場から市内を見下ろす。それに加えて市民と県庁の間の堀。
これで「勘違い職員」が育成されないはずがない。


福井県庁は移転すべきなのでは?

もっともそれで堀の中に警察本部だけ残ったら、それはそれで怖い。