クールビズ2011

今年の夏こそは冷房に悩まされたり、冷房対策に細心の注意を払って生活しなくてすむのではないかと期待していた。具体的には、死ぬほど暑いのに上着を持って外出しなくてもすむだろう、うっかり上着を忘れて冷房で凍え死にそうになることはあるまいと。

期待は裏切られた。事務所で、電車で、バスで、レストランで、大学で、寒い…。凍える…。

帝国データバンクの「夏季の電力使用量削減に対する企業の意識調査」によれば、クールビズをすでに開始している企業は7 割超。

http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/keiki_w1106_2.html

街を見渡すと男性はほぼ全員ノーネクタイ。街を見る限り、むしろクールビズを実施していない企業・団体があるのか、という印象を受ける。

クールビズがこれほど浸透していてなぜこの有様なのか。
改めて身近なクールビズを検証してみた。

クールビズは「ノーネクタイ」「ノー上着」。
数年前からクールビズを実施している、とある都内事務所ではノーネクタイは全員が実施しているが約半数が長袖(7月某日のオフィス内における男性50人中24人が長袖)。

長袖・半袖・ノースリーブで体感温度は大きく違う。
私は誰もが「暑い!」と思うような温度設定には反対だ。業務効率が下がる。例えば霞ヶ関の各省庁内の暑さには閉口するし、あの環境で働かなければならない公務員の方々に同情を禁じ得ない。

しかし巷における長袖メタボの妙齢ならぬ壮齢の男性にあわせた温度設定など、やっぱり間違いではないだろうか。

なぜ長袖。
「長袖を着ていて『暑い』と言われるのはいかがなものでしょう。どうしても長袖を着たいのならば風通しのよいシースルーワイシャツでも着ればよいのではないでしょうか。」と提案するも「恥ずかしい。」「カラダに自信がない。」との理由で却下される。まずは自信の持てるカラダ作りからか。と一瞬思ったものの、そんな実現可能性の低い未来を待ってはいられない。率直に半袖を着ない理由を聞いてみた。

「満員電車で人に触れるといやだから」
ならば通勤時のみジャケットをはおればよかろう。軽くてしわになりにくい軽量ジャケットなるものも売っている。
「冷房対策で」
総務部所属でその回答はいかがなものか。

そして定番のこの台詞。「クールビズといわれてもどんな格好をすればよいのか分からない」。

どうやら半袖に軽量ジャケットをあわせたファッションを具体的に提示することが必要のようだ。

今年提唱されたのは更に「どんな格好をすればよいのか分からない」という声が多そうなスーパークールビズ

NTTデータは7日、夏の節電対策として社員の軽装を認める「スーパークールビズ」の社内ファッションショーを東京都江東区の本社近くで開いた。同社は6月下旬からアロハシャツやサンダルも着用可能にするなど服装の基準を緩和したが、社員から「どんな格好ならいいのか分からない」と疑問の声が上がったため、顧客のアパレル関連企業6社にコーディネートを依頼した。

社員から選ばれたモデル18人は、風を通しやすい軽量ジャケットなどを着こなし、会場を埋めた同僚に「見本」を示した。
毎日新聞 2011年7月7日)

さすがNTTデータ。しかしせっかく「見本」を示しても「どこで買えばいいのか分からない」という男性もいそうなので、その場での販売も必要か。もっとも提携アパレルとしては、これを期に自店舗の顧客を増やしたいだろうから、売り場地図の配布、通販をしているのであれば当該ホームページの案内と利用方法の説明の方がよかろうか。
気になるのは、18人のモデル社員にメタボな壮齢男性が何人含まれていたかである。
若い女性に会社がファッションの提案をするなど釈迦に説法。その多くにとって夏の衣服など既にファッション雑誌等、自費購入テキストで日々研究を重ねているし、店舗で実売されている商品チェックも怠りない。

問題なのは、壮齢の男性。
靴まで含めたトータルコーディネイトを提案できるのはどこだろう。

あの暑苦しい革靴まで見直せばクールビズのついでに水虫の予防もできて、医療費削減に若干なりとも寄与できるだろうに。