タンニンなめしの靴

3月11日、JRまさかの終日運休。池袋から自宅まで歩くことになった。
当日履いていた「えこる」の靴は、実は超レアものである。

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革製品を売っている店では、まず製品をチェックし聞いてみる。

「この牛革は国産ですか?」
「はい。国産です。」
「ほう。それは珍しい。」

そう、本当に珍しい。
農林水産省のと畜統計調査をみると、毎日(土日祝日を除く)、全国推計で3,000頭あまりがと畜されている。
にもかかわらず、街で国産牛の革製品はまったくみかけない。
肉を食うなら革も使おう。「地産地消」に賛同するなら、革製品もできれば国産のものを使いたい。

しかし、私が確認した限り、どの革製品店もなぜか革はイタリアなどから輸入している。なめした革を輸入し、デザイン、加工しか行なっていない店が多い。今までみつけた国産牛革製品は、BAMBI社の松坂牛時計バンド「さとり」くらいのものである。


皮はどこにいった?


あると蓄場のデータを見ると、皮は一律価格ですべて売れてはいて、廃棄はされていないらしいのだが。

「どんな経路で入手されているんですか?」
「そこまでは。」

それは販売店舗ではなく工場関係者に聞かないと分からないかもしれない。残念。

「……この靴、タンニンなめしなんですよ。」
「では食べられますね。」

購入決定。

実はタンニンなめしというのも非常に珍しい。タンニンは植物に含まれるポリフェノールの一種なのでタンニンなめしの革であれば食べることも可能。食べないけど。靴は大抵がクロムなめし(金属の化合物によるなめし)である。

本当は、えこるの一番のセールスポイントは、牛革が国産であることでもタンニンなめしでもなく「歩きやすさ」。
確かに納得の歩きやすさである。次の帰宅困難時もえこるの靴を履いてるときであって欲しいもの。