節電 2つの観点
今、節電・省エネには2つの観点がある。
1.2011年夏の節電
夏のピーク時に電力不足となって大規模停電の起こる危険を回避するための節電施策だ。
求められているのは最大電力を抑制する「ピークカット(ピーク時の電力量を抑制する)」だから、最大の電力需要が見込まれる平日昼間の電力を抑制する必要がある。
資源エネルギー庁のホームページをみると、夏の昼間の電力使用量に驚く。
http://www.enecho.meti.go.jp/faq/electric/q03.htm
(出典:資源エネルギー庁)
この観点からは、例えば夜、早めに閉店するなどは意味のない節電施策となる。
現在、個人にも、町の自営業店舗にもこの夏のピークカット節電についての協力が要請されているように思える。
しかし、この夏の節電については基本的には東京電力と「需給調整契約」を結ぶ大口契約者の間で施策を協議・実施して危機を回避するのが原則ではないだろうか。
「需給調整契約」とは、普段、割引料金が適用される代わりに電力需要が逼迫した時に、電力利用を削減する義務を負う契約である。大口の需要家が契約者となることができる。
需給調整契約者の供給制限状況の公開とその実施内容への納得があって初めて、大口に比べて割高な通常料金を支払っている家庭や中小企業等が巻き込まれる計画停電がなされるのが筋だろう。
残念ながら現在、供給抑制の具体的実施状況については公開されていないようだ。
この夏、家庭が例えば「暑くても冷房を一切いれずに我慢する」(熱中症の危険性が・・)とか、中小企業、自営業店舗が「一定時間、閉店する」(経営にダメージが・・)というような無理な節電施策は、むしろ実施すべきではない。
2.長期的視点での「総合的に検証して合理的な節電・省エネ」
そうはいっても節電・省エネはもはや社会的課題である。
個人レベル、オフィス内、各店舗のレベルでも明らかな無駄がないか、業務改善を伴う節電の余地がないかの検証機会だ。
むしろこの機会、利用しない手はない。
家庭や中小企業等、需給調整契約を締結していない契約者は、この夏だけの特別な対応ではなく、2つめの観点からの生活の見直しや業務改善施策をこの夏までに実施することをめざしたらよいのではないだろうか。