2017年衆議院選挙における希望の党の記録

9月25日、突如、「希望の党」とやらが結成された2017年10月の衆議院選挙。この希望の党は、相当にトンデモであり、また「危険な政党」でもあった。
多分、そう長くは存続しない政党だろう。しかし、今回、多くの政治家が希望の党に「公認」された。その記録は残しておこう。

希望の党について、書き留めておく。

1.国政政党なのに党首が東京都知事

なんで国政政党の党首が都知事やねん。国政政党の党首は当然国会議員であるべきだ。「今は都知事だが、任期満了が近い。近日中に国会議員に立候補する予定」ならまだ理解できる。だが、小池百合子都知事は2016年8月に就任したばかりだ。なぜ任期途中の都知事が党首で新党を立ち上げる。都政を放り出す気満々か。ちなみに国政と都政首長の二足の草鞋は、業務量的にも普通に無理だ。大体、国政と都政は利益相反する場合もある。

2.党首が小池百合子都知事

2016年8月に小池百合子氏が都知事に就任してから、東京都政にどれだけの混乱と、どでかい損失が生じたか。
築地市場の例をみるだけで充分だ。多くの都職員や関係者が、慎重に手続きを踏んで進めてきた築地市場豊洲移転を、さしたる根拠もなくストップさせ、多大な損失を生んだ。そして関係者を理不尽に吊し上げた。
小池氏に実務的にことを進める政治的能力はない。しかし、行政手続きやエビデンスを無視して決定を下す「独裁者」の資質はある。メディア使いの巧さがそこに加味されると、それなりに「危険な政治家」だ。
ちなみに、こうした小池氏の行動資質は、国会議員であったときから変わらない。

3.公約と政策集を一見しただけで分かる政治的無責任

希望の党の公約は「12のゼロ」だという。

1.原発ゼロ
2.隠ぺいゼロ
3.企業団体献金ゼロ
4.待機児童ゼロ
5.受動喫煙ゼロ
6.満員電車ゼロ
7.ペット殺処分ゼロ
8.フードロスゼロ
9.ブラック企業ゼロ
10.花粉症ゼロ
11.移動困難者ゼロ
12.電柱ゼロ

「なめてるのかな?」というのが率直な感想だ。
「なぜそれが生じるのか」とか「どうやって実現するのか?」とか少しでも真面目に考えたら安易に「ゼロ」などと言えない。
大体、「ゼロ」にするのは「コストその他との兼ね合いで現実的ではない。適切ではない」とか「そもそも不可能」なものも多い。
「この公約を本気ですべて達成するのにもっとも手っ取り早い方法は日本国民ジェノサイドですかね。日本国民がゼロになれば、すべてゼロでしょ」と思ってしまう。

そして政策集は、一見して「高校生のブレストかよ」という素人臭さで辟易とする。

きっぱり言える。
公約も政策集も「適当に思いついた言葉を連ねただけで、実行する気などさらさらないだろ」。

いちいちつっこむのも疲れるしその価値もなかろう。
多分、希望の党の皆様は、早々にこの公約と政策集をきれいさっぱり忘れ去るだろうし、後日、どんな内容だったかを確認のは困難になるだろうから、このエントリの最後に政策集も書き留めておこう。

★★★

しかし、希望の党について、「またトンデモ政党が出来ましたなぁ」とは思ったものの、このような「トンデモ新党出現」は、別段、珍しくもない。

どたまげたことをしてくれたのは、前原誠司氏の率いる民進党だ。
ここ数カ月の小池都政を目の当たりにみていたにもかかわらず、また、国会議員としての小池氏を長年みていたにもかかわらず、民進党の議員は、小池百合子氏を党首にする希望の党に「公認」してもらい(つまり、事実上、民進党を解党して)衆議院選挙に出ようと判断したのだ。


このポピュリズムの権化のような「希望の党」に合流するのか。
私は、危険なポピュリストか、不誠実か、愚かかのいずれか、または、そのすべてでなければ、「希望の党」に入ることはできないと思っている。
希望の党は「まともな政治家」の入る政党ではない。

自民党希望の党の二択ならば、私は迷うことなく、力いっぱい自民党に投票する。

なお、希望の党の公認候補者は、全員が以下の「政策協議書」にサインしている。

希望の党が公認候補と取り交わした政策協定書の全文。

 希望の党 小池百合子代表殿
 政策協定書

 私は、希望の党の公認を受けて衆院選に立候補するに当たり、下記事項を順守すること、当選した場合には希望の党の所属する会派に所属して国会活動を行うこと、希望の党党員として政治活動を行うことを誓います。

 記

 1、希望の党の綱領を支持し、「寛容な改革保守政党」を目指すこと。
 2、現下の厳しい国際情勢に鑑み、現行の安全保障法制については、憲法にのっとり適切に運用する。その上で不断の見直しを行い、現実的な安全保障政策を支持する。
 3、税金の有効活用(ワイズ・スペンディング)を徹底し、国民が納める税の恩恵が全ての国民に行き渡る仕組みを強化すること。
 4、憲法改正を支持し、憲法改正論議を幅広く進めること。
 5、国民に負担を求める前に国会議員が身を切る改革を断行する必要があること、および、いわゆる景気弾力条項の趣旨を踏まえて、2019年10月の消費税10%への引き上げを凍結すること。
 6、外国人に対する地方参政権の付与に反対すること。
 7、政党支部において企業団体献金を受け取らないこと。
 8、希望の党の公約を順守すること。
 9、希望の党の公認候補となるに当たり、党に資金提供をすること。
 10、選挙期間が終了するまで、希望の党選挙協力の協定を交わしている政党への批判は一切行わないこと。
  年 月 日
 第48回衆院選 立候補予定者(署名欄)

(出典:https://www.jiji.com/jc/article?k=2017100300947&g=pol

すごいな。公認候補者たちは「希望の党の公約を順守する」そうだ。
ちなみに、希望の党選挙協力をしたのは「日本維新の会」である。この2つの政党はよく似ている。

2017年の衆議院選挙、結果は「希望の党」の大敗だった。235名の公認候補者中、当選は50名。

しかし、落選したにせよ、希望の党の公認候補者だった政治家は忘れまい。「2017年、希望の党の公認候補者だった」という事実は、今後の判断基準の一つになろう。

希望の党当選・小選挙区
岩手1区:階猛
埼玉6区:大島敦
神奈川9区:笠浩史
東京21区:長島昭久
長野2区:下条みつ
長野3区:井出庸生
静岡5区:細野豪志
静岡6区:渡辺周
愛知2区:古川元久
愛知11区:古本伸一郎
愛知13区:大西健介
京都3区:泉健太
和歌山1区:岸本周平
広島6区:佐藤公治
香川2区:玉木雄一郎
愛媛3区:白石洋一
佐賀2区:大串博志
長崎1区:西岡秀子

希望の党当選・比例】
北海道9区:山岡達丸
秋田2区:緑川貴士
福島4区:小熊慎司
東北比例:寺田学
茨城5区:浅野哲
茨城6区:青山大人
埼玉7区:小宮山泰子
埼玉12区:森田俊和
千葉1区:田嶋要
千葉9区:奥野総一郎
神奈川14区:本村賢太郎
神奈川16区:後藤祐一
東京3区:松原仁
東京15区:柿沢未途
東京23区:伊藤俊輔
石川3区:近藤和也
福井2区:斉木武志
岐阜4区:今井雅人
静岡8区:源馬謙太郎
愛知4区:牧義夫
愛知9区:岡本充功
愛知15区:関健一郎
京都5区:井上一徳
京都6区:山井和則
岡山2区:津村啓介
岡山4区:柚木道義
香川1区:小川淳也
福岡2区:稲富修二
福岡10区:城井崇
大分1区:吉良州司
九州比例:中山成彬

希望の党落選】
北海道2区:松木謙公
北海道4区:高橋美穂
北海道12区:水上美華
北海道比例:青木和子
北海道比例:三好新治
青森1区:升田世喜男
青森2区:工藤武
青森3区:山内崇
岩手2区:畑浩治
宮城1区:伊藤優太
宮城3区:一條芳弘
宮城4区:坂東毅
秋田1区:松浦大悟
秋田3区:村岡敏英
山形1区:荒井寛
山形2区:近藤洋介
山形3区:阿部寿一
福島2区:岡部光規
福島5区:吉田泉
東北比例:宇佐美登
東北比例:高松和夫
茨城1区:福島伸享
茨城2区:石津政雄
茨城3区:樋口舞
茨城4区:大熊利昭
栃木1区:柏倉祐司
栃木3区:渡辺美由紀
栃木4区:藤岡隆雄
栃木5区:大豆生田実
群馬1区:宮崎岳志
群馬2区:石関貴史
群馬4区:不破弘樹
群馬5区:猪口幸子
埼玉1区:武正公一
埼玉2区:菅克己
埼玉3区:三輪麻美
埼玉4区:吉田芳朝
埼玉5区:高木秀文
埼玉8区:小野塚勝俊
埼玉9区:杉村慎治
埼玉10区:坂本祐之輔
埼玉11区:三角創太
埼玉13区:北角嘉幸
埼玉14区:鈴木義弘
埼玉15区:高山智司
北関東比例:永井弥生
北関東比例:山下崇
北関東比例:並木正芳
千葉2区:竹ケ原裕美子
千葉3区:櫛渕万里
千葉5区:岡野純子
千葉6区:遠藤宣彦
千葉7区:波多野里奈
千葉8区:太田和美
千葉10区:谷田川元
千葉11区:多ケ谷亮
千葉12区:樋高剛
千葉13区:水野智彦
神奈川1区:長島一由
神奈川2区:橋本久美
神奈川3区:勝又恒一郎
神奈川4区:風間法子
神奈川5区:吉岡憲史
神奈川7区:川野案
神奈川10区:市川佳子
神奈川11区:真白リョウ
神奈川12区:原輝雄
神奈川13区:太栄志
神奈川15区:乃木涼介
神奈川17区:神山洋介
神奈川18区:三村和也
山梨2区:井桁亮
南関東比例:石川藍
南関東比例:内山正樹
南関東比例:秋山岳久
東京1区:松沢香
東京2区:鳩山太郎
東京4区:難波美智代
東京5区:福田峰之
東京6区:植松恵美子
東京7区:荒木章博
東京8区:木内孝胤
東京9区:高松智之
東京10区:若狭勝
東京11区:宍戸千絵
東京14区:矢作麻子
東京16区:田村謙治
東京17区:西田主税(ちから)
東京18区:鴇田敦
東京19区:佐々木里加
東京20区:鹿野晃
東京22区:金ケ崎絵美
東京24区:吉羽美華
東京25区:小沢鋭仁
東京比例:小泉俊明
東京比例:伊藤正樹
東京比例:田淵正文
東京比例:石飛香織
東京比例:黒川公美
東京比例:羽田次郎
東京比例:竹内今日生
東京比例:栗山由美
東京比例:竹田光明
東京比例:森村廣
富山3区:柴田巧
石川1区:田中美絵子
石川2区:柴田未来
福井1区:鈴木宏
長野4区:寺島義幸
長野5区:中嶋康介
北陸信越比例:宮沢隆仁
北陸信越比例:吉田治
北陸信越比例:三枝英彦
岐阜3区:阪口直人
岐阜5区:阿知波吉信
静岡1区:小池政就
静岡2区:松尾勉
静岡3区:鈴木望
静岡4区:田中健
静岡7区:福村隆
愛知1区:佐藤夕子
愛知3区:余語冴耶香
愛知5区:野々部尚昭
愛知6区:森本和義
愛知10区:安井美沙子
愛知14区:田中克典
三重4区:藤田大助
東海比例:中根康浩
東海比例:中瀬博之
滋賀2区:田島一成
滋賀3区:小川泰江
滋賀4区:徳永久志
京都1区:嶋村聖子
京都4区:北神圭朗
兵庫1区:井坂信彦
兵庫3区:横畑和幸
兵庫4区:野口威光
兵庫5区:梶原康弘
兵庫6区:幾村奈応子
兵庫7区:畠中光成
兵庫9区:川戸康嗣
兵庫10区:柘植厚人
兵庫11区:長安豊
兵庫12区:池畑浩太朗
奈良1区:馬淵澄夫
奈良2区:松本昌之
奈良3区:前川清成
和歌山2区:坂田隆徳
関西比例:樽床伸二
関西比例:大沢千恵子
関西比例:野中幸市
関西比例:白石純子
関西比例:請田修一
鳥取2区:湯原俊二
岡山1区:蜂谷弘美
岡山3区:内山晃
岡山5区:樽井良和
広島2区:松本大輔
広島4区:上野寛治
広島5区:橋本琴絵
広島7区:佐藤広典
山口1区:大内一也
山口4区:藤田時雄
中国比例:山口克也
徳島1区:仁木博文
愛媛1区:富永喜代
愛媛2区:横山博幸
愛媛4区:桜内文城
高知1区:大石宗
四国比例:藤岡佳代子
四国比例:鎌江一平
福岡1区:石井英俊
福岡5区:楠田大蔵
福岡7区:原圭助
福岡9区:緒方林太郎
福岡11区:村上智
長崎2区:山口初實
長崎3区:末次精一
長崎4区:宮島大典
熊本1区:松野頼久
宮崎1区:外山斎
宮崎3区:花輪智史
鹿児島2区:斉藤佳代
鹿児島3区:野間健
九州比例:並木浩一
九州比例:森田俊文


希望の党の政策集】

希望の党政策集:私たちが目指す「希望への道」

1.政治に希望を 〜徹底した情報公開による透明性の高い政治を実現〜
・特区等における事業者選定において、その選定過程を国民に全て開示する。
・「企業団体献金ゼロ」を法的に義務付ける。
・地方議員の政務活動費の公開と同様に、国会議員の「文書通信交通滞在費」の使途公開を義務付ける。
衆議院参議院の対等統合による一院制により、迅速な意思決定を可能とし、議員定数と議員報酬、国会運営に関する費用を大幅に削減する。
・国会への参考人出席、文書提出を義務付け、重大問題は国会に特別調査会を設置する。
マイナンバーを活用し、受け取ることのできる交付金などに関する情報の本人通知や自動口座振替などにより、受け取り損ねることのない「プッシュ型」行政を本格導入する(申請主義からの脱却)。まず東京都から率先垂範し、専門家も資金も不足する自治体は国がサポートする。
・先の文科省天下り事件の再発を防止する「天下り規制法」を制定する。
・国家公務員総定員を ICT 化による省力化で 2 割削減する。

2.経済に希望を 〜ユリノミクスにより、経済成長と財政再建の両立を目指す〜
・金融緩和と財政出動に過度に依存せず、民間の活力を引き出す「ユリノミクス」を断行する。
①消費税凍結と内部留保の社会還元
 消費税増税を凍結し消費の冷え込みを回避する一方、300 兆円もの大企業の内部留保に課税することにより、配当機会を通じた株式市場の活性化、雇用創出、設備投資増加をもたらす。
②家計の安心による消費拡大
 若者が正社員で働くことを支援し、家計における教育費と住宅費の負担を下げ、医療介護費の不安を解消する(総合合算制度)。
 ベーシックインカム導入により低所得層の可処分所得を増やす。
③大胆な規制・社会変革
 新規分野を中心に規制改革と社会実験を大胆に進めることにより、民間活力を最大限引き出し、潜在成長率を底上げする。
・日銀の大規模金融緩和は当面維持した上、円滑な出口戦略を政府日銀一体となって模索する。
働き方改革の推進、再就職支援制度の抜本拡充などにより成長分野への人材移動を円滑化するとともに、「時差 Biz」による「満員電車ゼロ」実現など生活改革を進め、労働生産性を高める。
特区におけるサンドボックス制度(新技術を実証するための規制改革を行う「砂場」)の積極的活用、イノベーションハブの整備などにより、医療・バイオ、IT、IoT、フィンテックなど先端分野におけるイノベーション と起業を促進し、経済の自律的成長を目指す。
人工知能ビッグデータ活用、サイバーセキュリティ対策等の分野で競争力を高めるため、専門人材の育成・獲得を図り、量子コンピュータなどの基盤技術開発を支援し、積極的に社会実験を進めていく。
・民泊などシェアリングエコノミーの推進、自動運転の実現に向けた規制改革を断行する。
日本企業の事業再編を促すため、事業再編税制を強化する。民間主導の事業再編や起業を促進するため、政府系金融機関及び官民ファンドは可及的速やかに廃止する一方、シードマネーの提供を誘発する制度改革 等により国内の独立系企業再生ファンドやベンチャーキャピタルを育成する。
・東京都の「国際金融都市・東京」構想を全面的に支援し、日本と東京をアジアナンバーワンの国際金融センターとして復活させるために必要な税制改革・規制改革に取り組む。
電柱の地中化(「電柱ゼロ」)により、災害対策を強化するとともに、景観を改善する。
東京オリンピックパラリンピックを契機とし、ユニバーサルデザインバリアフリーを徹底した都市づくりを推進する。

3.中小企業に希望を 〜人手不足と公的負担に苦しむ中小企業を徹底支援〜
・中小企業は雇用を通じて地域社会に大きな貢献をしている。正社員雇用を増やした中小企業の社会保険料負担を免除する「正社員化促進法」を制定し、正社員で働ける社会を目指す。
・若者を苦しめるブラック企業について、残業、休暇、給与などに関する要件を明確化し、該当企業の 名前を公表することにより、「ブラック企業ゼロ」を目指す。
地域社会の持続性を確保し、中小企業の人手不足を解消するため、国と職種を限定して外国人労働者の 受入れを拡大する。
・金融機関に対し「経営者保証に関するガイドライン」の徹底を図ることにより、一定の要件を満たせば 経営者などに個人保証を極力求めず、保証債務履行時に保証人に一定の資産を残すことを認めていく。

4.家計に希望を 〜成長の実感が伴わない中での消費税増税は凍結する〜
消費税法の現行規定には、消費税引き上げについて経済状況の好転を条件とする「景気条項」が存在していない。地方や中小企業などを中心に必ずしも成長の実感が伴わない中で消費税引き上げを強行すると景気が失速する可能性が高いため、2019 年 10 月に予定されている 10% への消費税引上げは凍結する。
・消費税引き上げの前提として、議員定数・報酬の削減、一院制実現に道筋を付けるなど国会改革の実現、ワイズ・スペンディングの観点から不要不急のインフラ整備を徹底的に見直す。
・消費税増税凍結の代替財源として、約 300 兆円もの大企業の内部留保の課税を検討する。これにより内部留保を雇用創出や設備投資に回すことを促し、税収増と経済成長の両立を目指す。
・家計における二大負担である住宅費と教育費負担を引下げ、実質的な可処分所得増、個人消費増を目指す。役所の持つ空き家関連情報の抜本的流通拡大等による中古住宅市場の活性化、リバースモーゲージの拡大、生前贈与の促進などにより高齢富裕層から若者への所得移転を促す。
ユリノミクス」による税収増、ワイズ・スペンディングによる財政支出の削減、国有資産の売却や政府系金融機関の廃止に伴う貸付金の回収等により、プライマリーバランスの改善を図る。ただし、安倍政権が投げ出した 2020 年度までに PB(基礎的財政収支)を黒字化するという非現実的な目標は達成が可能な現実的な目標に訂正し、経済に対する負のインパクトを緩和する。
マイナンバーのフル活用と歳入庁創設により、国・地方を通じた税や保険料納付についての脱法行為、徴収漏れ防止を徹底する。
・個人所得税の税率構造を簡素化した上、配偶者控除を廃止し、夫婦合算制度へ移行する。

5. 雇用・教育・福祉に希望を 〜正社員で働ける、結婚できる、子どもを育てられる社会へ〜
・正社員雇用を増やした中小企業の社会保険料負担を免除する「正社員化促進法」を制定し、正社員で働ける社会を目指す。(再掲)
長時間労働に対する法的規制、男性を含めた育児休暇取得の支援などにより、柔軟な働き方を社会全体で支えていくことを通じ、ワークライフバランスのとれた社会を実現する。
・「待機児童ゼロ」の法的義務付け、病児/病後児保育の充実、配偶者控除を廃止し夫婦合算制度へ移行(再掲)、同一価値労働同一賃金など、女性が働きやすい社会を創る。
・2020 年までに指導的地位にある女性の比率を 30% に高める。
・幼児保育・教育の無償化、大学における給付型奨学金の大幅拡充により、格差の連鎖を断ち切る。
・格差が極大化する AI(人工知能)時代を念頭に、基礎年金、生活保護雇用保険等を BI(ベーシックインカム)に置き換えることを検討する。所得税増税と差引きすると、低所得者は給付増、高所得者は負担増となる。
・医療・介護・障がい福祉に関する世帯ごとの自己負担額を合算し、所得や資産に応じて定める上限額以上の負担額は公費で補てんする「総合合算制度」を導入する。
遺伝子データ分析の飛躍的改善により、将来かかる可能性の高い病気を個人ごとに集中予防し、医療費を削減する。「フレイル」(疲れやすいなど体がストレスに弱くなっている状態)に早期対応できる体制を 整備し、健康長寿を実現する。
・運転困難な方の移動の自由を保障するため、既に一部自治体で先行している「300 円タクシー」を全国規模で実現し、「移動困難者ゼロ」を目指す。道路予算をこの財源に充てる(道路より移動を)。
高齢者の学び直し(セカンドラーニング)のため、100 歳まで学べる学部を創るなど大学での高齢者学生の受け入れを推進する。
LGBT の差別禁止法の制定、ヘイトスピーチを含む人種など差別禁止法の制定、DV 防止法・ストーカー規制法の強化などに取り組む。
平成 28 年の 1 年間で 10,424 頭の犬、45,574 匹の猫が殺処分されていることから、犬や猫の「殺処分ゼロ」を義務付ける法案を制定する。

6.地球に希望を 〜エコ社会を実現し、2030 年までに原発ゼロを目指す〜
東京電力福島第一原発事故を経験した我が国は、新規原発の建設をやめ、40 年廃炉原則を徹底する方向で「原発ゼロ」の 2030 年までの実現を目指す。
原発の老朽度など総合的な安全性を原子力規制委員会が厳しく確認するとともに、確実な住民避難措置が取られることを前提に、原発の再稼働を認める。
・将来政権交代が起きても原発ゼロの方針が変わらぬよう、幅広く与野党合意を形成し、原発ゼロを憲法に明記することを目指す。
再生可能エネルギーの比率を 30% まで向上させるよう開発導入支援を行う。再生可能エネルギーと地域農業の高度化を組み合わせ、エネルギーの地産地消、地域循環型のグリーンな経済構造を作る。
地球温暖化対策の徹底、EV(電気自動車)・FCV(燃料電池自動車)など「ゼロエミッション車」化の加速、ESG 投資(環境、社会貢献、企業統治に配慮する企業への投資)の促進、建物における断熱促進など徹底した省エネ推進などを通じて、エコ社会の実現を加速させる。
・離島など島しょ地域での EV 化の促進を図るとともに、集合住宅における EV 充電設備設置を促進する。
・20 世紀の人口増大を背景とした拡張型の公共投資を改め、21 世紀の人口減少時代を前提に、維持補修型へと公共投資の在り方を抜本的に見直す。
・オリンピック・パラリンピック開催国として国際標準の「受動喫煙ゼロ」規制を実施する。
・一定規模以上の食品提供事業者を対象に、フードロス率の公表、ロス率の低い事業者の表彰、NPO 等への寄付の促進などにより、「フードロスゼロ」を目指す。

7.地方に希望を 〜地方自治の確立と産業強化で地域社会を生き返らせる〜
地方自治に関する憲法第 8 章を改正し、「地方でできることは地方で」行うとの分権の考え方、課税自主権、財政自主権などを位置付ける。
道州制導入を目指し、国の権限と財源を移していくことにより、道州レベルで、また世界レベルで競争するダイナミズムを創りだす。まずは公共事業に関する権限と予算を地方移管する。
政令市が都道府県からの独立性を強める特別自治市の実現を図る。
・食料自給率 50% を目指し、既存の農業関係補助金を大胆に廃止して農家への直接払いに一本化し、補助金漬け農業から稼げる農業に転換する。
・意欲ある若者や女性などの新規就農者を育成・支援し、中核的な担い手へ農地集積・集約を促す。
世界最先端の食の安全基準の導入、有機農業の推進、地理的表示の促進などにより、世界の消費者に選択してもらえる農業生産基盤を創る。
・サル、シカ等の有害鳥獣の半減を目指し、鳥獣被害対策実施隊の充実など捕獲対策を強化する。
農地を都市に必要なものと位置づけ、相続税納税猶予をはじめとした税制措置などにより都市農業振興を図る。
・サバ、サンマなど日本近海における他国の漁獲高増加を踏まえ、水産資源の持続的利用を国際的に働きかける。
・「花粉症ゼロ」を目指したスギ等の伐採促進、国産材の活用促進などにより、林業の再生を目指す。
・「21 世紀版大検地」を行い、空家の抜本的活用を図るとともに、所有者不明土地は慎重な手続きの下で自治体に移転し、有効活用を促進する。
東日本大震災からの復興については、復興特区制度の有効活用、行政のワンストップサービス化、人材・資材の不足・高騰への万全な対応など、国として最優先で取り組む。熊本地震や各地の豪雨災害などに対しても、早期の復旧・復興を進める。
・地域における産学連携などを通じ、地方大学を核とした地域活性化を図る。
・都内 23 区の学生数を抑制する文部科学省告示を廃止する。
・東京・名古屋・大阪が、それぞれの強みを生かしつつ密接な連携を深めていくことにより、大経済圏「東海道メガロポリス」を誕生させる。これにより、ニューヨークやロンドン、上海といった大経済圏同士のメガ競争に勝ち抜いていく。

8.憲法に希望を 〜地方自治、国民の知る権利など幅広く憲法改正に取り組む〜
地方自治に関する憲法第 8 章を改正し、「地方でできることは地方で」行うとの分権の考え方、課税自主権、財政自主権などを位置付ける(再掲)。
衆議院参議院の対等統合による一院制により、迅速な意思決定を可能とし、議員定数と費用を大幅に削減する(再掲)。
・国民の知る権利を憲法に明確に定め、国や地方公共団体の情報公開を抜本的に進める。
・幼児教育から高校までの教育無償化、緊急事態における国政選挙の先延ばし、私学助成の位置づけを明確にするための第 89 条の見直しなどについて検討する。
・将来政権交代が起きても原発ゼロの方針が変わらぬよう、幅広く与野党合意を形成し、原発ゼロを憲法に明記することを目指す(再掲)。
自衛隊の存在は国民に高く評価されており、これを憲法に位置づけることについては、国民の理解が得られるかどうか見極めた上で判断する。

9.世界に希望を 〜現実主義に立脚した外交安全保障とアジア太平洋地域の共生〜
・安保法制をめぐる与野党の不毛な対立から脱却し、我が国の厳しい安全保障環境に対しては、党派を越えて対応する。
・現在緊張の高まる北朝鮮への対応やミサイル防衛などを含め、現行の安全保障法制は憲法に則り適切に運用する。
・今後我が国が直面することが見込まれる様々な事態に対処できるよう、サイバーテロ対策も含め、現実主義に立脚した外交安全保障体制を構築する。
北朝鮮に対しては、日米韓が中心となり中国・ロシアを含め国際社会と緊密に連携し、制裁の厳格な実施を働きかける。制裁、圧力はいたずらな挑発ではなく、対話を導く手段である。
・重大な人権侵害である北朝鮮による拉致被害者全員の即時帰国に全力で取り組む。
・日米同盟を深化させる一方、基地負担軽減など地位協定の見直しを求めるなど、日本の主体性を確立する。
北方領土返還を目指し、我が国固有の領土である尖閣諸島を守り、竹島についても公正な解決を目指していく。
・多国間の対話の枠組みを進展させ、中国、韓国を含めたアジア太平洋地域における共生を重視する。
・厳格な出入国規制、対外情報収集機能の強化などにより、テロ対策の強化を図る。
・大災害などから国民の生命、財産、主権を守るための万全の備えを整える。

10.民主主義に希望を 〜選挙・民主主義〜
衆議院小選挙区において 300 万円の供託金が必要となるなど、高い立候補の壁が存在する。供託金制度の見直しや、大学構内や駅周辺での投票など若者を中心に投票の利便性を図ることにより、国民が政治に参加しやすい環境を整備する。
・全国で電子投票が実現すれば、どこでも投票することが可能となり、学生などの若者が投票しやすくなる。ネット投票についても検討する。
・被選挙権の年齢引き下げを実現する。
・国会における男女同数を目指し、必要な法案を提出する。

(出典:2017年10月希望の党 ホームページ https://kibounotou.jp/policy