昭文社にみる市販出版物売上高と返品率

近年、システムによるデータ管理体制は急速に整備され進化した。

というわけで、例えば、出版物ならば、「どこで・いつ・何冊売れたか」、「今、どこに、何冊あるか」を即時に把握できるシステムが構築されているはずだ。

多分。

というわけで、普通に考えたら、返品率は劇的に低下しているはずである。
出版社としては、返品率が高いと利益が削れる。返品率は低く抑えたいはずだ。

なじみ深い出版社でみてみよう。
昭文社の返品率をみてみることにする。

まだまだ長年の勘と経験でざっくり在庫管理をしていたであろう2000年頃の返品率は、30%をぎりぎり割っている。

2000年28.9%、2001年29.4%、2002年 29.5%、2003年28.6%。

当時でこの数値なら、今は20%程度になっているのではないか。

と思いきや。

2009年以降の市販出版物売上高と返品率である。

2009年 98億円 33.6%
2010年 89億円 30.9%
2011年 89億円 29.0%
2012年 89億円 31.9%
2013年 81億円 32.8%
2014年 73億円 32.9%
2015年 64億円 39.4%
2016年 79億円 30.7%
2017年 58億円 41.8%


市販出版物売上高が減少傾向にあるのは当然のことだ。
昭文社も、今後市販出版物の売上が減少していく予想を2008年時点で明言している。

しかし、返品率が上がってるのはなぜ。
2017年3月期は逆に40%突破って。

なんでだ。

【参考】
昭文社「第58期(平成29年3月期)2017年3月期 通期 決算説明会資料」
http://www.mapple.co.jp/corporate/ir/presentation/images/ir_2017a.pdf

昭文社「第54期(平成25年3月期)2013年3月期 通期 決算説明会資料」
http://www.mapple.co.jp/corporate/ir/presentation/images/ir_2013a.pdf

昭文社「第47期(平成18年3月期)決算説明会資料(47期決算報告と今後の展望)」
http://www.mapple.co.jp/corporate/ir/presentation/images/ir_47ki_setumei.pdf

昭文社「2008-2012年度 昭文社グループ中期経営計画 」
http://www.mapple.co.jp/corporate/ir/presentation/images/ir_keikaku_2008a.pdf